Tuesday, January 30, 2007

The Pop Group, Forces Of Oppression

ポップに定義などない
遠い昔のブリストルからのメッセージ

ゴダールが映画においての娯楽に新たな解釈を持ち込んだように、ファンクやフリージャズを独特の解釈でロック(ダブ)へと融合させたのがこのポップグループ。既存を破壊することがパンクだとすれば、彼らの音楽はまさにゴダールの分断と再構築そのものだ。


For How Much Longer
Do We Tolerate Mass Murder? (1980)

ポップグループがその後に与えた影響は絶大で、特にマッシヴアタックに代表されるブリストルサウンドは彼らの存在なくしては考えられない。実際それを証明するかのように、トリッキーのファーストシングルにはDedicated To Mark Stewartのクレジットがある。

音楽とは食べ物に似た嗜好があり、先入観と耐性に支配されることが多い。逆に言えば、先入観に左右されず耐性を身につけることが本質に近づく必要条件になる。もっとも音楽に精神性を求めていない人にとって、こんな能書きは余計なお世話だろう。

さて今回の曲だが、率直に言って理解できる人は少ないと思う。もしかしたら不快感しか残らないかも知れない。ただ前述した通り、受け入れる姿勢さえあれば理解は可能。

個人的には最も影響を受けた曲の1つで、イントロを聴いただけで熱いものが込み上げてくる。全ての不満や叫びを代弁してくれるような、自分にとってはそんな曲だ。

さんざん調べたがこのアルバムは廃盤になっているらしく、現状では試聴はおろか入手することすら難しい。何とか試聴だけはできるので、興味があれば聴いてみて欲しい。

参考までにこの曲自体はWe Are All Prostitutesという編集盤にも収録されているようだが、肝心のケチャを思わせるイントロはカットされているとのこと。

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Sunday, January 28, 2007

The Human Express

ジェフ・ハン氏のマルチタッチ・インターフェイスがすごい

前回の記事でiPhoneのタッチパネルを絶賛したわけだが、このジェフ・ハンという人物の存在をすっかり忘れていた。タッチパネルを語る上では必要不可欠な人物で、SATOMIさんの書いた記事(上記リンク)を読めばその全てが分かると思う。

知識もないので直接は触れないが、恐ろしい時代に突入したというのが率直な感想。人類はこれまであらゆる不可能を可能にしてきた。もはや不可能という言葉は一時的なものでしかないとさえ感じる。

恐ろしいと書いたのはそんな人類に対する逆説的な表現でもあるが、その過程で大事なものを失っていくことが実は最も恐ろしい。感覚的なものの言い方になってしまうが、無限の可能性に向かっていくことがゼロへの収束に思えるからである。

いずれにしても人類を乗せた列車は走り出してしまった。おそらく止まることもないだろう。ただその行き先を知る者はいない。結末が知りたいような知るのが怖いような、今はそんな複雑な心境だ。

関連記事:Delayed Steal

Friday, January 26, 2007

Delayed Steal

3.5インチタッチパネル搭載の「iPhone」、6月に発売

発表から2週間以上が経過し何を今さらというタイミングになってしまったが、15年以上マックを使っている者としては放っておけない。近年の携帯電話の飛躍的な進歩は言うまでもないが、大容量化するに連れて1つの疑問がずっと頭の中にあった。

「アップルはいつになったら携帯電話を作るのか」

iPhone
(C)Copyright mad4mobilephones.com

大容量化は携帯電話が多目的デバイスに代わることを意味し、そうなれば通信機能のないiPodの商品価値は下がる。現時点で圧倒的なシェアはあるものの、携帯電話とiPodの2台を持ち歩くのはどう考えてもわずらわしい。

実際ここニューヨークではBlackBerryの普及が目覚ましく、見かけ上は完全に乗り遅れた格好。層の厚い通信事業への参入がその妨げになっているのか、又は最初からそのつもりがないのか。理由はいろいろ考えられるが、いずれにしても大失態だと思っていた。

Macworld 2007 Keynote
スティーブ・ジョブズ キーノート

ところが今回のiPhoneの発表で疑問は一気に解決、それどころかさすがアップルと再認識させられてしまったのである。

話は少しそれるが、アップルはマウスとウインドウの概念を導入することでコンピューターを初めて家庭に持ち込んだ。そのユーザーフレンドリーな精神はその後も受け継がれ、ウインドウズに比べると圧倒的に使いやすい。

マックの持つ直線的な操作性に慣れてしまうと、複雑なウインドウズは苦痛に感じることさえある。念のため書いておくと、ウインドウズもすでに5年ほど使っている。

A Closer Look At The iPhone(CBS News Video)

話を戻すとこの直線的な操作性がiPhoneの最大の特徴。本体前面にあるのはホームに戻るためのボタン1つで、その他は全てタッチパネルで操作する。(Multi-touch)

スティーブ・ジョブズも言っているように、従来の固定されたボタンではアプリケーションごとの操作性に問題が出てくる。つまりアプリケーションの数だけボタンの持つ役割が増えてしまうという欠点を、タッチパネルの導入で解消したわけだ。

最高のツールと言われる手(指)をマウスのように使えることも、操作性をより一層向上させている。さらにシンプルなデザインを実現と、タッチパネルの効果は絶大と言える。

これなら参入が遅れたのも当然、むしろ満を持しての登場と言うべきだろう。またこの時期の発表は、機能的に重なるiPodとの兼ね合いもあったのかも知れない。

「iPhone」のCingular、15日よりブランド名を「AT&T」に変更

何ともややこしい記事だが、アップルがAT&Tと組んだことに変わりはない。AT&Tはソニーと同じで、自らのブランドに溺れあぐらをかく体質がある。記事にある懸念がそのことなのかは分からないが、iPhoneの登場で漁夫の利を得たのはAT&Tという気がする。

関連記事:The Human Express

Wednesday, January 24, 2007

Violent Femmes, Add It Up

本物はアメリカにありと実感させるバンド

スニーカーを履く人なら分かると思うが、種類の豊富さにおいてナイキに勝るブランドは少ない。ただその中には駄作(ガラクタ)も多く、個々のクオリティーはそれほど高くない。

ところがこのガラクタだらけのおもちゃ箱から、必ずと言っていいほど極上の逸品が見つかる。これが他のブランドにはないナイキの魅力、個人的にはそう思っている。


Violent Femmes (1983)

前置きが長くなったが、アメリカの音楽はこのナイキに例えると分かりやすい。平均的にレベルが高く洗練されているヨーロッパの音楽と比べると大味で趣味も悪いが、とてつもない才能に巡り合う確率だけは高いのである。

今回紹介するヴァイオレントファムズは、そんなとてつもない才能を持つミルウォーキー出身の3人組。音楽性におけるオリジナリティー、トリックスターを思わせるインテリジェンスなどその全てが突き抜けた領域にある。

中でもこの曲は最も好きで、右脳が左脳をあざ笑うかのような強さが堪らない。最も好きなバンドでもあるので、興味があれば是非聴いてみて欲しい。

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Tuesday, January 23, 2007

Believe Yourself

関テレ謝罪「あるある」でデータ改ざん

なりぽんさんが素晴らしい記事を書いているので気がひけるが、自分なりの感想を書いてみることにする。不二家にしてもそうだが、こういうニュースは単に発覚したかどうかだけの問題で氷山の一角。平たく言えばどこでもやっていることで、通常なら食指は動かない。

書く気になったのは情報と信頼というキーワードが個人的に引っかかったから。情報という言葉を辞書で引いてみると、2番目の意味としてこう書いてある。

「判断をしたり、行動を起こすために必要な知識」

あたかも事実であるかのような番組の性質上、捏造は確かに許されることではない。ただし上記の記述からも分かるように、情報とは受ける側がそしゃくするのが前提。したがって捏造した事実よりも、鵜呑みにする視聴者のレベルが本来問題になるべきだと思う。

ダイエット関連にしろ増毛剤にしろ、使用前使用後の写真など明らかに捏造されているものは多い。広告と番組は違うと思うかも知れないが、公共の電波で放送している以上本質的には同じである。

これにクレームをつけるのはおそらくごく少数、大半は個々の判断でそれが事実ではないと認識した上で放置しているはずだ。つまり今回のように多くの人が騙されたケースに限って問題視していることになる。

とくダネ!「あるある大辞典Ⅱ」捏造事件YouTube

関西テレビ社長による謝罪会見の中に、視聴者の信頼という言葉がある。ありきたりと言ってしまえばそれまでだが、視聴者を納得させるには相応しい言葉だろう。

ただ客観的に見た場合、最も相応しい言葉は信頼ではなく信仰。考えることを拒否し、盲目的に受け入れる姿勢が宗教そのものだからである。また何を信じていいのか分からないといった視聴者の声は、まさに信者のそれに等しい。

捏造したことを責めるより、自分自身を恥じるべき。自分の頭で考え、自分の意見を持たなければ世の中など変わるはずがない。求めるだけでは何も生まれないのである。

Thank you for believing me.
But don't forget to believe yourself.
By Mariah Carey

Friday, January 19, 2007

Attack Is The Best Defense?

不二家社長が辞意、新たに期限切れも発表

今回のように何か不祥事があった場合、トップが責任をとるのはごく当たり前のこととして認識されている。実際にはトップが退いたところでそれほど変化があるとは思えないが、消費者の信用を取り戻すには手っ取り早い手段ではある。

企業の存続が最優先事項な以上、消費者の意識に合わせるのはある意味仕方がない。ただ責任をとることと、辞めることは本質的に違うのも事実。

犯した過ちを検討し再発を防ぐことに全力を注ぐ姿勢こそが重要であって、人を入れ替えて済む問題ではない。逆に言えば、そうすることでしか納得できない消費者の意識にも問題があるわけだ。

以前も似たようなことを書いたが、日本人とは中立的な立場を好む国民。今回のように悪玉のレッテルを貼られたものには、中立との認識をいいことに徹底的に攻撃する。

さらに右ならえ主義なため拍車がかかり、それが一般化してしまう。確かに再発させないための抑止力としては有効だが、本質を無視した意識は永遠に変わることはない。

根本的には個々の責任だとしても、横並び的なメディアの体質にも問題がある。酷評する映画評論家が少ないのがいい例で、受ける側はそれを本質と錯覚してしまうのである。

現代のような情報化社会において、メディアが与える影響は限りなく大きい。資本主義の構造上仕方がないのかも知れないが、近年の多チャンネル化にしか希望を見出せないのはあまりにも寂しい。

関連記事:UNIQLO Soho New York

Thursday, January 18, 2007

Shame On You

阪神大震災から12年、鎮魂の祈り途絶えず

あれから12年、時が経つのは早いものだ。当時は日本に住んでいたが、東京だったこともあり正直なところあまり実感がない。

逆に思い浮かぶのは同時多発テロ、通称セプテンバーイレブン。自宅からそう離れていなかったこともあって、あの時のことは鮮明に覚えている。知ったのは日本の友人からかかってきた1本の電話。

「大丈夫?」
「何が?」
「いいからテレビつけてみなよ」

1機目が突入した直後だったが、事故には見えなかった。それがニューヨークの象徴、ワールドトレードセンターだったからだ。それからはまるで映画を見るように、ただ呆然とその一部始終を見ていた。風にのって流れてきた黒煙は今でも忘れられない。

同時にもう1つ、忘れられないことがある。それはある日本人女性(以下Aさん)のことで、ここからが今日の本題。

Aさんとは数回会ったことがある程度の間柄で、元々は友人のルームメイトだった。日系の旅行会社でフリーランスとして働いていたが、就労ビザは持っていない。

話は少しそれるが、Aさんに限らずニューヨークに不法就労者は多い。日本食レストランのウエイトレスなどは、そのほとんどがそうだと思う。大半はきちんとした学生だが、滞在するために席を置くだけの学生も少なくない。このAさんもある学校の学生だったが、知る限りでは学校には行っていなかった。

米国同時多発テロ事件被災者救援報告書

この報告書によると、米国赤十字社に送られた義捐金だけで1200億。また内訳の2番目には収入を失った方々への支援とある。実はAさん、この適用を受けた。

旅行業界がダメージを受けたのは事実で、おそらく収入は減ったとは思う。ただこの項目は本来もっと直接的な人に適用されるべきものなはず。隣に美味いラーメン屋ができたからといって、自分の店の売り上げを誰が保証してくれるだろう。ましてや不法就労、何をかいわんやである。

ここまでなら大目に見ることもできるが、話はまだ続く。適用を受けてから間もなく、結婚を理由にAさんは帰国。当然アメリカには住んでいない。ただチェック(*1)はその後も数ヶ月間は送られてきたそうで、ルームメイトだった友人が日本に郵送していた。(*1)月額1500ドル前後

申請には正式な書類はほとんど不要だったらしく、適用する側の問題もある。ただ義捐金の中には決して裕福ではない庶民のもの含まれており、それを考えると腹が立って仕方がない。またこれによって、適用されるべき人に不都合が生じていることも事実だろう。

テロを理由に善意を踏みにじり、本人はのうのうと新婚生活を満喫。氷山の一角かも知れないが、これこそ日本人の恥。こんな奴は地獄に落ちればいい。敬称をつけるどころか、実名を出したい気分だ。

関連記事:Remember To Remind You

Wednesday, January 17, 2007

Hot Stove 2007-4

Yankees sign infielder Doug Mientkiewicz

Free Agent Trackerでチェックしていたので仮契約だとばかり思っていたが、プレスリリースを読むとすでに契約が完了していた。さて、ミンケイビッチと聞いて思い出すのはワールドシリーズのウイニングボール。

Rソックスと元一塁手が和解 優勝記念ボールは殿堂に

和解も何も、そもそも個人の所有権を主張すること自体馬鹿げている。もしかしたら最初からそのつもりだった可能性もあり、金銭の授受による決着が濃厚。いずれにしてもプレー以前の問題で、こういう選手は個人的に好きになれない。

先日も書いたが、ミンケイビッチの特徴は何と言っても守備力。メジャーデビュー以降の守備率は.996で、一塁手としてはナショナルズとマイナー契約したトラビス・リーに次ぐ2位。また打率のわりに出塁率が高いのも特徴と言える。残り物ではあるが、年俸150万ドルならそう悪くはないかも知れない。

ただ気になることが1つある。ミンケイビッチがスタメンに入ると、9人中7人が左打者になってしまうのである。たいした問題とも思えないが、ジグザグ打線を好むトーリにとっては頭が痛いところ。それを意識するあまり、ALDSのように迷走しなければいいのだが。

ジョンソンの移籍決定 Dバックスと2年30億超
Yankees complete five-player Unit deal

投手の能力を計る1つの指針としてWHIPというものがある。これは(被安打数+与四球数)/投球回数で求められる数字で、一般的に1.2前後なら一流と言われる。

去年のランディ・ジョンソンは1.24(防御率5.00)で、投球自体も防御率ほど悪くは見えなかった。先日至上最高額の契約を結んだジートが1.40(防御率3.83)だったことから考えても、まだまだ十分通用するはずである。

そんな選手を放出したのだから、当然その内容が気になるところ。獲得したのは以下の4人で、ヤンキースは年俸の一部の200万ドルを負担する。(成績はいずれも2006年)

Luis Vizcaino / リリーフ投手 32歳 右投右打
4勝6敗 防御率3.58 奪三振72 投球回65.1 被安打51 与四球29

Ross Ohlendorf / 先発投手 24歳 右投右打
10勝8敗 防御率3.29 奪三振125 投球回177.2 被安打180 与四球29(2A TEN)
0勝0敗 防御率1.80 奪三振4 投球回5.0 被安打6 与四球0(3A TUC)

Steven Jackson / 先発投手 24歳 右投右打
8勝11敗 防御率2.65 奪三振125 投球回149.2 被安打131 与四球45(2A TEN)

Alberto Gonzalez / 遊撃手 23歳 右投右打
129試合 打率.290 6HR 50打点 67得点 37四球 5盗塁 出塁率.356(2A TEN)
4試合 打率.200 0HR 1打点 2得点 1四球 0盗塁 出塁率.294(3A TUC)

即戦力は3年連続で防御率3点台をマークしているビスカイーノただ1人。ただし現状のヤンキースは中継ぎ陣も飽和状態にあり、右投手ということもあって開幕ロースターの保証はない。プロスペクト扱いのオーレンドルフはスタッツ的に物足りず、むしろジャクソンの方がよく見える。

いずれにしても来季を見据えた補強ではないことは確かで、実際キャッシュマンもペイロールを理由にこれを認めている。本来ならこのトレードについてはここで終わりにしたいところだが、残念ながら続きがある。

ランディ、栄光の背番号「51」で心機一転
D-backs introduce familiar face

この記事にあるランディ・ジョンソンのコメントが興味深い。素直に読めばニューヨークでプレーする重圧に耐えられなかったという内容で、一般的にもよく言われる話である。

ただチームや選手、ファンへの賛辞はあってもフロントに対しては一言も触れていないところがどうも引っかかる。またあれほどのベテランが、メディアのバッシングを苦にするとも考えにくい。

浮かんでくるのはフロントとの確執。バッシングも後ろ盾がなかったとすれば納得がいく。それだけが理由だとは思わないが、キャッシュマンの言うところのペイロールはおそらくスケープゴートだろう。

関連記事:United Unit

Hot Stove 2007-1
Hot Stove 2007-5

Monday, January 15, 2007

Hot Stove 2007-3

井川投手がヤ軍と契約 日本選手4人目

ヤンキースが井川側に支払う金額はポスティングを含めて54億弱。単純計算で1年あたり10億以上、通常ならエースの年俸に匹敵する額である。左投手なこととその年齢がアドバンテージになったのは確かだが、決して安い買い物とは言えない。必然的に長期契約しなければコストパフォーマンスは下がる。

一方の井川も長期契約に勝る保険はなく、焦ることなくプレーに集中できる。したがってコストを度外視すれば、双方の利害が一致した結果と言える。

晴れてヤンキースの一員になった井川だが、次なる関心は先発枠。格や実績を重視する首脳陣の方針から考えると、オープン戦の結果にかかわらず枠は2つしかない。

先発確定:ウォン ムシーナ ペティット
先発候補:パバーノ ラズナー カーステンズ プロクター ヘン ヒューズ サンチェス

確定組を含めると総勢11人、先発不足のカージナルスなどには目の毒だろう。ただ候補になっている投手はいずれも強調材料に乏しく、先発枠はある程度楽観視していい。これについては近いうちに詳しく書く予定。

関連記事:Half Double

ペティット、4年ぶり古巣で「特別な思い出作りたい」
Yankees welcome Pettitte(WMP)

投手を形容する時よく目にするのが、2桁勝利という言葉。言い換えれば勝ち星が投手の評価の対象になっていることになる。説明するまでもなく勝ち星というのは不確定要素に左右されるもので、その投球内容とはそれほど相関性はない。

より相関性のあるファクターが他にないのなら分かるが、防御率や被安打率など不確定要素に左右されにくいものはいくらでもある。つまり勝ち星が投手の評価としてスタンダードになっていること自体、大きな間違いなのである。

前置きが長くなったが、このペティットは積み上げた勝ち星で最も過大評価されている投手の1人。以下はレギュラーシーズンとポストシーズンにおける勝利数と防御率の比較。

ペドロ・マルチネス 投球回2645 206勝92敗 防御率2.81
アンディ・ペティット 投球回2312 186勝104敗 防御率3.81

ジョン・スモルツ 投球回207 15勝4敗 防御率2.65(勝利数歴代1位)
アンディ・ペティット 投球回212 14勝9敗 防御率4.08 (同2位)

見ての通り、投球回と勝利数の関係はほぼ同じ。それでいて防御率に1点以上の開きがあるのは、得点力の高いヤンキースに在籍していた恩恵。投手を評価する上で、勝ち星がいかにアテにならないか分かるはずだ。

悪い投手ではないが、少なくとも年俸19億の価値はない。またクレメンスのコメントからも分かるように、引退を考えたのはおそらく抱えている故障が理由。また故障自体もある程度深刻なものと推測できる。やはりババになる可能性は高いようだ。

関連記事:Old Maid

Hot Stove 2007-1
Hot Stove 2007-4

Saturday, January 13, 2007

As It Happens

ヤンキースが粋な計らい 功労者の引退に華添える
Nelson signs, retires as a Yankee

コメントを読む限り多少傲慢な部分もあるが、あれほど曲がるスライダーを投げる投手はあまり記憶にない。また中継ぎではあるものの、生涯防御率3.41は立派な数字。

こういうやり方はあまり好きではないが、目に見えるものでしか評価されない現代社会を生き抜くためなら分からなくもない。キャリアを重んじるアメリカではなおさらだろう。引退後は解説者の道を希望しているようだが、幸か不幸かこんな記事がある。

闘病中のヤンキースOB、腫瘍は悪性
Murcer vows to battle back from tumor

元ヤンキースの外野手で、YESの解説者であるボビー・マーサー。実は去年の後半戦あたりから、番組中のスムースさを欠くコメントが気になっていた。当初は年齢のせいだと思っていたが、今思えばこの影響だったのかも知れない。

悪性の脳腫瘍となると事態は深刻で、率直に言って来季の解説は難しい。三羽烏(*1)の1人だったジム・カートは去年で勇退、その上ボビー・マーサーまでいなくなるとしたら寂しい限りだ。(*1)残る1人はケン・シングルトン

前述のネルソンなど後釜候補はいるにしても、23年のキャリアを埋めるにはあまりにも物足りない。とにかく早くよくなって、また元気な姿を見せて欲しいと思う。

関連記事:September16,06 vs BOS G-1 L2-5

Friday, January 12, 2007

How To Spend Money

「60億円」はファンへ還元 西武が使途の概要を発表

ポスティングによる60億の使い道は、野球ファンならずとも興味があるところ。西武ファンにいたっては、税務署のごとくその行く末を監視しているに違いない。

西武、メジャー右腕獲得 糖尿病とも闘うジョンソン

具体的な形としてはおそらくこれがその第一弾、獲得したのはジェイソン・ジョンソンという投手だ。年俸は60億の17分の1に当たる3億5000万。一昔前なら聞いただけで高いと思える額だが、ここまで高騰してしまうと主観すら持てないのが実情だろう。

ツインズ、前ヤンキースのベテラン右腕と契約
Twins ink Ponson to Minor League deal

これはヤンキースを自由契約になったポンソンがツインズとマイナー契約を交わしたという記事。引き合いに出したのは、前述のジョンソンを計る上で格好の材料だと思ったから。以下は両者の比較でいずれも生涯成績。

ジョンソン 33歳 55勝98敗 防御率4.99 被安打率.348 WHIP1.49
ポンソン  30歳 80勝96敗 防御率4.89 被安打率.342 WHIP1.45

見ての通りうり二つ、違うのは身長ぐらいでどちらも150キロ前後のストレートを投げる。それでいて片やマイナー契約、ジョンソンは年俸だけならメジャー級である。

もうお分かりだと思うが、はっきり言って高い。ジョンソンの年齢と糖尿病を考慮すれば、割高感はいっそう確実なものになるはずだ。

活躍するかしないかは、実際投げてみないと何とも言えない。ただ言えるのは、これが大金を手にしたが故の結果だということ。仮にこの60億がなかったら、数千万の年俸で済む外国人を血眼になって探していたはずだからである。

大金を手にした途端、企業努力が疎かになってしまうようでは幼稚と言わざるを得ない。残念ながらファンの期待に応えられる器ではないらしい。

また活躍の如何にかかわらず、これでは年俸高騰に歯止めが効かない。以前も書いたが払うから上がるというのが根本であり、選手にとって有利な判例を自ら作っているわけだ。

ノリ涙の退団「負けました」

元マリナーズの佐々木も含め、この中村はまさに判例中の判例。詳しくは書かないが、生涯打率.270に満たない選手に5億も6億も払うこと自体馬鹿げている。

実体のないブランド料をまだ払い続けるとしたら、日本のプロ野球に明日はない。やる気のないオリックスと言えども、さすがにそこまで浅はかではなかったようだ。

関連記事:Worth Or Worse, D-Rave

Tuesday, January 09, 2007

Seeing Nothing Is Believing

Igawa introduced by Yankees
Yankees introduce Igawa(WMP)

井川の入団会見が昨日、ヤンキースタジアムで行われた。印象的だったのはカタカナ英語によるスピーチよりも、ユニフォームのボタンをきちんと下まで留めたところ。真面目な人柄が出ていて実によかった。

井川の居場所 ロッカールームでメジャー実感

ところでこの記事の中に通訳について書かれた部分がある。確かに松坂の時と比べれば雲泥の差だが、それを引き合いに出してライバル対決と結ぶのは極めて低俗。そもそもライバル対決や日本人対決とはメディアが作り上げた二次的な世界でしかなく、本質とは無縁の位置関係にある。

選手が文化もレベルも違うアメリカをその活躍の場所として選ぶのは、紛れもなく野球に対する向上心から。したがって選手が最も意識することはメジャーで生き残ることであり、ライバル関係を意識する余裕などあるわけがない。逆にそんなものを意識している選手がいたとしたら、通用しないのは目に見えている。

こういう記事は単に読者をあおっているに過ぎず、通訳の優劣で差をつけたなどとよくも言えるものだ。百歩譲って差がついたとしても、その先に何があるというのだろう。あるのは偏った見方でしか楽しめない哀れなファンの姿だけ。底抜けのバカなのか確信的な意図があるのかは分からないが、どちらにしても最低の記事である。

実は以前書いた記事でこの通訳について触れるつもりだったが、多少気の毒に思えたことと酷評されるのが分かっていたのであえて自重した。ただこうやって書かれてしまっては別の意味で黙っていられない。

試しに松坂、通訳で検索してみたところ、最初の100件(その先は未確認)はほとんどがこの話題についてのものだった。大半がこの通訳に対してのネガティブな意見で、中にはコストに見合っていないという見当違いなものまである。

確かにあの通訳はプロフェッショナルとは言えず、舞台が舞台なだけに酷評は避けられないとは思う。ただ会見が台無しになった責任を全て通訳に押し付けるのは、あまりにも一方的というものだ。

根本的な原因は松坂が英語を話せなかったことにある。自らの意思で母国語の違う国で仕事をするのだから、例え野球選手であろうと日本語でいいという理屈は通らない。その結果期待したものにならなくても、甘んじて受けるべきである。意地悪な言い方になるが、ゴルフをやる暇があるのなら英会話を勉強する暇もあったはず。

またこの通訳は突然現れたわけではなく、あくまでも松坂自身の決断が生んだもの。巨人に入っておきながらポスティングが不公平と言い出す上原ではないが、自業自得な側面は否定できない。

もっともあの会見に関して松坂本人が満足であれば何も問題はない。問題なのはその矛先を通訳にしか向けられない人たち。息子が殺人を犯しても、そそのかした友達のせいにする親の理屈と何ら変わらないからである。これでは教祖を崇め奉る宗教と同じ、これが現代人の思想だと思うと情けなくなる。

関連記事:D-Rave

Sunday, January 07, 2007

Bernie Will Aim

ヤンキース生え抜きのウィリアムズ、残留は困難か

開幕のロースターは25人。投手枠が12人なら野手枠は13人、控えは4人になる。ただ捕手と外野のカブレラ、ユーティリティープレーヤーは外せないので実質的に枠は1つ。バーニーが入るとすればここしかないが、率直に言って難しい。

この体制だと内野の控えがユーティリティープレーヤー1人なので、試合中に故障者が出た場合などに支障をきたす。また戦術的にも限定されるため、柔軟な対応が出来なくなることで僅差のゲームを落としやすい。

ヤンキース、ベテランの万能内野手と再契約

カイロと契約したことから来季の野手枠は前述の通りだとは思うが、トーリのことなので下手をすれば投手を増やす可能性はある。もしそうなればバーニーの居場所は100%ないわけで、残念ながら退団は避けられないだろう。

「トップレベルの選手は引き際をわきまえるべき」

以前ある人がこんなことを言っていたが、同じように考えている人も少なくないはず。もちろん願望なら構わないが考え方となると話は別、そんな考えはエゴの押し付け以外の何ものでもないからだ。

メジャーに挑戦した桑田を哀れだと感じるのは、傍観者の立場だからこそ。保身のあまり会社にへばりつく方がよっぽど哀れである。もしあなたがバーニーのファンなら、彼の意思を尊重してあげて欲しい。全うに勝る満足感などどこにもないのだから。

追記:忘れていたがカイロは外野も守れる。今回の契約が決定打かも知れない。

関連記事:Whatever You Play, From 17th Birthday

Friday, January 05, 2007

United Unit

堅実なチームづくりへ ヤンキース

中身を吟味せず背景も知らないまま短絡的に点と点を繋げ、最後は出来の悪い連続ドラマのようなオチ。誰が書いたか知らないが、状況証拠だけで犯人を特定してしまう三流刑事のような記事だ。

ウォンは頭角をあらわすタイミングが少しずれていればランディ・ジョンソンとの交換要員(2004年オフ)になっていた可能性が高く、カノーに関しては先日書いた通り。

ヒューズは別としてもカブレラはトレード要員としてすでに交渉が進められた経緯があり、全てが結果論で主力に育てたなどという表現は記者として失格である。

シェフィールドについても以前書いたので省略するが、これもチーム作りとは無縁と考えるのが妥当。読者に誤った認識を与えるような記事はいい加減止めてもらいたい。

ランディ、古巣Dバックスに放出へ
Yanks, D-backs agree on Unit trade

5点オーバーの防御率とヘルニアの手術が放出の決め手になったのは間違いないが、それは相手も同じこと。つまりダイヤモンドバックスは数字より潜在能力、手術のデメリットよりむしろメリットを取ったことになる。

ビッグネームを呼び戻すことで集客アップは見込めるものの、年俸の1400万ドル(*1)は財政難のダイヤモンドバックスにとって決して安くはないのも事実。(*1)来季の年俸1600万ドルのうち200万ドルをヤンキースが負担

この観点で考えると相手が大博打を打ったように見えるが、トレードの内容を加味すると一概にそうとも言えない。詳しくは次回のHot Stove-3で触れる予定なので、興味があればそちらを見て欲しい。

いずれにしても、あの投球を見られないのはファンとして非常に残念。まだまだ十分やれるはずなので、キャッシュマンや老いぼれ扱いした奴らの鼻を是非明かしてもらいたい。

ヤンキース、元ゴールドグラブ賞一塁手と契約合意
Mientkiewicz reaches deal with Yankees

ベストと思われたロレッタはアストロズに決まり、はっきり言ってこれは残り物。ジアンビがDHに専念するため守備力が重要になるのは分かるが、強調材料がゴールドグラブしかないのはあまりにも寂しい。

これでフェルプスとフィリップスの3人でポジションを争うことになったが、懸案だったわりには何ともレベルが低い。何度も言うが、所詮キャッシュマンはこの程度なのである。

関連記事:Hot Stove 2007-4

Thursday, January 04, 2007

1/91.25

写真は元旦のニューヨーク、グランドセントラル駅

今年初めての記事がヤンキース関連というのも何となく寂しいので躊躇していたが、結局目的のないまま今こうしてパソコンの前に座っている。仕方がないのでとりあえず思いつくままに書いてみることにする。


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自分にとってのブログとはマスターベーション的な要素が強い。ブログという穴に向かって頭の中にある不満を吐き出しているからである。ただ俗に言うそれとは違い、この穴は成長もすれば老化もする。またその大きさや奥行きは均一ではなく個体差がある。

このブログのようにピンホールほどの穴で奥行きも針の先ほどしかないものから、トンネルのように出入り口が大きくその存在が所有者以外にとっても有益なものまで様々だ。

マスターベーションと断定しなかったのには理由がある。もうお分かりだとは思うが、その穴の成長をどこかで盲目的に期待しているのである。

ブログに限ったことではないが、欲求があり方法論も分かっているのならそこに向かえばいい。実に単純なことだ。ところが何かが邪魔してなかなか実行に移せない。その何かとはほとんどの場合、無価値なプライドや羞恥心であることが多い。

こんな精神構造は記憶を重ねるたびに加速し、次第にパラドックスへとその姿を変える。そんな最悪な結末まで分かっていながら、体は一向に動こうとしない。

努力できる才能という言葉があるが、自分には根本的にそれが欠けている。こう書いて気づいたが、才能を理由にしたりこんなことを書いていること自体ここから抜け出せるわけがない。前述のパラドックスそのものである。

ヤンキースの松井から勇気をもらっているのではなく、もらったつもりになっている自分を肯定しているだけ。自力以外解決の道などあるはずもなく、都合よく考えている自分に腹が立つ。せっかく書いたが今すぐにでも消したい気分になってきた。

追記:冒頭のリンク先にあるINTERACTIVE(駅構内の360度パノラマ映像)がなかなか面白い。これを見つけたことで今回はよしとしよう。

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