Saturday, January 24, 2009

Tiny Shiny Coin

キラキラ光るちっぽけな夜

昨日は久しぶりの外食。その帰り道に、全面ガラス張りのレストランがあった。距離にして50メートル。離れてはいたが雰囲気はよさそう。そう思って立ち止まると、ウェイターが手を振っている。実際は客にワインボトルを見せていただけで、手は振っていない。

とにかくそう見えたので応えると、今度は本当に手を振ってきた。知らない人と触れ合う感覚というか、こういうノリは気分がいい。先日もプラハのバーでバーテンと握手して帰ってきたが、あの時の顔は他の何よりも記憶に残っている。

タイムズスクエアに差し掛かったところで、いい加減タクシーを拾うことにした。観光客ばかりで普段は毛嫌いしているエリアだが、改めて見ると新鮮。ニューヨークに住んでいる実感が湧いてくる。

「5ドル40、つまり(which means)5ドル40」

運転手の言葉に一瞬戸惑ったが、それはそれ。言い直す必要がなくても気にしない。知らない人に手を振るウェイターのように、ただ何となく楽しければそれでいい。そう思わせる魅力がこの街にはある。

タイトルにあるTiny Shiny Coinは、高校の時の英語教師から教わった。本来は同時に2つの単語を覚えるためのものだが、こんな形で使うとは思ってもみなかった。

Wednesday, January 21, 2009

New Day

オバマ新大統領:宣誓し就任 演説で「米国の再生」誓う

この日は民放各局で朝から特別番組が放映された。コマーシャルは一切なし。演説中は仕事を中断したオフィスも多かったようで、有給を取って休んだ人もいるらしい。ネット配信したCNNでは2500万アクセス。日本でも過去最高を記録したというから、歴史的な日になったのは間違いない。

オバマ米大統領、就任演説全文

英語力の問題で演説はよく分からなかったが、それとは別に気になったことがある。牧師の告げるアーメンの言葉。キリスト教信者が多い(約8割)とはいえ、これでは人種や宗教の壁を越えてというメッセージに説得力が感じられない。広義に解釈できる神はいいとしても、数の論理でゴリ押しされるのは困る。

「大統領はスマートフォンを持てない?」-史上初の“BlackBerry大統領”の是非

信教の自由とブラックベリー、国教の制定を禁じるアメリカと大統領記録法。靖国問題のように公人というつもりはないが、国家行事に関してはもう少し配慮が欲しい。少なくともオバマが提唱するアメリカとはそんな国だと思う。

Neighborhood Ball: Michelle And Barack Obama First Dance

このビデオは就任式の夜に行われたNeighborhood Ballの一幕。オバマ自身がホストを務めたせいか、豪華な顔ぶれ(別記)が揃った。選挙運動(資金)におけるネットの活用しかり、既成概念にとらわれないところは変革を実現する人物として申し分ない。前述のアーメンは忘れて、今後に期待する方が前向きなのかも知れない。

出演者:will.i.am, Mary J. Blige, Maroon 5, Mariah Carey, Beyonce, Jay-Z, Alicia Keys, Shakira, Stevie Wonder, Faith Hill, Sting 他

Inaugural Words - 1789 to the Present - Interactive Graphic

当該サイトの中ではニューヨークタイムスが面白かった。演説の内容が視覚的に分かる仕組みで、キーワードをクリックすると過去のアーカイブが表示される。タグクラウド自体はよく見かけるが、こういう使い方は新鮮。あっちを立てればこっちが立たずとはこのことだろう。

Playlist Updated:
Neighborhood Ballのトップを飾ったwill.i.amのIt's a New Day. ライブでは最高にピースフルなロックンロールに仕上がっていた。実際の映像はこちら

Play Sub Tracks

追記:will.i.amが語るオバマへの思いと、各アーチストの映像が見れるページも併せて載せておく。

Will.i.am's hopes for the future with Obama
The Neighbourhood Ball: An Inauguration Celebration

関連記事:Stranger Than Fiction

Saturday, January 17, 2009

Stare Miasto Tour: Warsaw

ヨーロッパ旧市街ツアー: ワルシャワ

ヨーロッパにはシェンゲン協定というものがある。出入国を簡略化するシステムで、加盟国同士なら2度目以降の入国審査は免除される。お陰であっさり入国できたのだが、ゲートすらなかったのには面食らってしまった。フランスの入国審査もあってないようなものだったし、余計な心配もしたくなる。


(C)Copyright Invisible KMFIS

両替を済ませ、タクシー乗り場へ。曇った窓から見える初めてのポーランド。街の明かりとイルミネーションが余計にまぶしい。(クリスマス当日なので)さすがに静かだったが、暗いというよりストイックな印象。ボッタクリと評判のタクシーも特に問題なかった。

ホテル レ レジーナ - TripAdvisor
Hotel MaMaison Le Regina Warsaw

今回泊まった中で、最もよかったのがこのホテル。レビューにもあるように、とにかく悪いところが見当たらない。こんなことを書くとまるでアフィリエイトのようだが、ほとんどの人が満足できると思う。旧市街に位置するロケーションもポイント。

ワルシャワ歴史地区 - Wikipedia

ワルシャワには当時の街並み(旧市街)が今も残っている。とはいっても、これらは戦後市民の手によって復元されたもの。壁のひび1本までの言葉が示す通り、確かによく出来ていた。ただ考えてみると、普通こんなことはやらない。新しく作るならまだしも、元に戻すのは簡単ではないからだ。いったい何が彼らをそうさせたのか。

[all cinemas go forward to freedom!] 地下水道(1956年 ポーランド)

「私が何故この2本の映画(地下水道、灰とダイヤモンド)を作り、何故これらの作品が私の最初の映画でなければならなかったのか……という質問を、私自身にも発しているのですよ。(中略)私はワルシャワ蜂起に参加しませんでした。戦後、私はクラクフの美術学校に入学しましたが、そこでの人々は、戦争体験はなく、美術に熱中していました」

「一方で、私と同じ世代のある人々は、戦争という状況を生き、戦争という悪を見、恐怖の中で苦しみました。私は何も体験していません。そこで私は、何とかして償いをしようと決心しました。私は、私のかたわらを通り過ぎて行った戦争という歴史的事件の体験を、他の人々と共有出来ないことで深く恥じ入っていたのです」

自らを恥じ、追体験という形で空白を埋めようとしたアンジェイ・ワイダ。ナチスに街の大部分を焼き払われ、それを放って置けなかったワルシャワ市民。ポーランド人には不屈の精神があるといわれるが、彼らもまた空白を埋めたかったのかも知れない。

「Pamiętamy(思い出す)」

不屈の精神といえば、ホテルの近くでこんなグラフィティーを見つけた。場所は教会の裏。書かれている数字(63)と意味からして、第2次大戦中のポーランドを指しているのは間違いない。その一方で、今度はこんな落書き。ポーランドに限ったことではないとはいえ、身につまされる。

ワルシャワの空は白い。おまけに日照時間も極端に短く、いつも以上に満足のいく写真が撮れなかった。前回同様以下にアップしてあるので、よかったらどうぞ。それにしても寒かった。(続く

Stare Miasto Tour: Warsaw - a set on Flickr
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ワルシャワ - Wikipedia

Stare Miasto Tour: Paris

Wednesday, January 14, 2009

Andy Tubman Reprise

Come To California (呼ばれてる?)

昨日は旅行の続きを書いてた。その間聴いてたのはAndy Tubman. というかほとんどいつも聴いてる。自分でもよく飽きないなって思うけど、体が欲しがっちゃって。もう完全に中毒。でも彼のことはよく知らない。好きな女優でも映画は別っていうか、周辺には興味がわかない。


(C)Copyright Erik Magelssen

そういう意味では聴いてるだけで満足。ただライブは見たい。それで何となくウェブサイトに行っちゃったわけ。興味がわかないとかいって、いざ目の前にするとやっぱりね。気づけばYouTube見ながらその辺で踊ってた。

どうしても生で見たくなって調べてみると、西海岸でしかやってない。しかもフライヤーには5ドルって書いてある。驚きを通り越して、怒りがこみ上げてきた。こんなのあり得ない、世の中間違ってるって。それなら500ドルかけて5ドルのライブ見に行ってやる。ネタじゃなくて、いたって本心。

よく読むと新曲のコピー(CD)も5ドルで配ってるらしい。結局何の値段か分かんないんだけど、あのハコでやってる以上同じこと。そこのお前、ライブ中にカメラを横切んなよ。まったく失礼な奴だ。普段は西海岸なんて眼中にないけど、この時ばかりは羨ましかった。

おまけに未発表のフルバージョンが何曲もダウンロードできる。タダ同然のライブといい、世の中どうしてこうなるのか。落とすのは申し訳ないと思いつつも、この衝動は抑えきれない。テクノロジー万歳。もう、呆れるぐらいよかったよ。実は今も聴いてるんだけど、お陰で昨日の夕食はビールになっちゃった。

本も人並みには読んでるし、映画はそれ以上。でもそこから学ぶことは多くなくて、ほとんどは音楽から。今の自分があるのは音楽のお陰って言ってもいい。これまでに聴いた音源はタイトル数で1万ぐらい。かなり処分しちゃったけど、それでもアナログと併せて6000枚以上はある。

Andy Tubmanのソロはその中でもベスト。たった1枚に全てが詰まってるっていうか、今まで聴いてきたのは何だったんだって感じ。能書きを承知で言わせてもらうと、生きててよかったって思わせた唯一の人かな。

だからこういう状況は納得がいかない。他人を応援するのは趣味じゃないけど、何かの形でサポートしたいと思ってる。とにかく聴いてみて欲しい。そしてもし気にいったら、声に出して伝えて欲しい。世のため人のため。もちろん自分のエゴでもあるけど、何よりも彼のために。またビールが飲みたくなってきた。

Playlist Updated:
ライブバージョン他7曲を追加。Who's Kidding WhoとAllはメチャクチャ燃える。

Play All Time Andy Tubman

関連記事:Andy Tubman, Quiet Inside

The Jane Doe's on MySpace Music
The Jane Doe's Photo Albums

Thursday, January 08, 2009

Stare Miasto Tour: Paris

ヨーロッパ旧市街ツアー: パリ

今回旅行を計画するにあたり、最初に候補になったのは南の島。ニューヨークからだとカリブかメキシコ辺りが一般的だが、シーズンということでそれなりに高い。群れるのも好きではないし、それ以前にリゾートという柄なのかという問題もある。


(C)Copyright Invisible KMFIS

旅行に行くこと自体は決まっていたので、ここを外してからは手当たり次第。モスクワに始まり、トルコのカッパドキア。挙句の果てにはグリーンランドで流氷を見たいと言い出す始末。旧共産圏の魅力に惹かれて、結局はポーランドに落ち着いた。

首都のワルシャワまではパリ経由。エールフランスが一番安かったこともあるが、(11時間の)トランジットを利用して観光できるのが魅力的だった。パリには行ったことがなく、着くのはクリスマス当日。前述の話とは矛盾するものの、イメージは悪くない。よく考えれば最悪のタイミングなのだが、この時はそれに気づいていなかった。

クリスマスはクリスマスでも、イブと当日では大違い。ほとんどの店は休みで、営業しているのは観光客相手のレストランぐらい。もちろん活気などあるはずがない。早朝ということもあって、思い描いたイメージが崩れていく。凱旋門からシャンゼリゼを下り、お決まりのエッフェル塔へ。寒空の中、ひたすら歩き続けて1日が終わった。

面白かったのは、立ち寄ったラデュレというレストランに日本人が多かったこと。自分もその1人なのだが、街ではほとんど見かけなかっただけに可笑しい。メディアの影響力というか、日本人パワー健在といったところだろう。コーヒーは冷めていたが、クラブサンドは美味しかった。

そういうわけで、パリには表参道を歩いたような印象しか残っていない。地元の人からすれば否定されそうだが、少なくともその空気に魅力は感じなかった。予想外に大きかった凱旋門が、収穫といえば収穫。例によって写真は以下にアップしてある。(続く

Stare Miasto Tour: Paris - a set on Flickr
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関連記事:Happy Holidays

パリ - Wikipedia

Sunday, January 04, 2009

Summary: NYY 2008-4

2008年のヤンキース: 選択肢(その4)

Richie Sexson リッチー・セクソン 1塁手 .250 HR1 打点6
試合数22 出塁率.371 盗塁0 長打率.393

ご存知マリナースの不良債権。ジアンビの控えとしてシーズン途中に獲得した。左投手に対しては期待通りの数字(.325)を残したものの、結局は1ヶ月余りで解雇。エンズバーグにしてもそうだが、こういう希望的(おそらく長打)な補強はいただけない。

Ivan Rodriguez イバン・ロドリゲス 捕手 .226 HR2 打点3
試合数32 出塁率.265 盗塁4 長打率.333

ファーンズワースとのトレードで獲得。モリーナの打撃力が低いとはいえ、ファンタジーベースボールのような感覚は目に余る。期待された打撃もご覧の通りで、盗塁阻止率(*1)にいたっては雲泥の差。その後のブルペンに苦労したことを考えると、愚の骨頂としか言いようがない。(*1)ロドリゲス.269 モリーナ.440

Xavier Nady エグゼビアー・ネイディ 外野手 .267 HR11 打点34
試合数54 出塁率.318 盗塁0 長打率.476

パイレーツ在籍時ほどの活躍はできなかったが、勝負強いバッティングでチームに貢献。貴重な右打者ということもあり、少なくとも来季以降に繋がる補強にはなった。移籍後の打率が示すように、リーグの壁を越えられるかがカギ。

Cody Ransom コーディー・ランサム 3塁手 .276 HR2 打点6
試合数28 出塁率.344 盗塁0 長打率.552

セクソンの代役として昇格。内野ならどこでも守れるユーティリティープレーヤーで、わずかながら外野の経験もある。バッティングは未知数ながら、俊足ということもあって控えとしては悪くない。実績がないので難しいが、もう少し早くベンチ入りして欲しかった。

Summary: NYY 2008-1
Summary: NYY 2008-5

Saturday, January 03, 2009

Decay

2009年最初の風景

以前はイベントでしかなかった新年も、月日が経つにつれ意味を持つようになった。さらなる飛躍を期待する人、過ちを繰り返さないよう厳粛な気持ちで臨む人。ネガティブな感情しか持てない人も含めて、最もピュアになれるのがこの時期だと思う。節目にしか自己を見つめられないというのもヘンな話だが、惰性化する日常においてはそれも仕方がない。

年末を慌しい旅行先で過ごしたせいで、今回はそのチャンスがなかった。カウントダウンも夢の中、未だに新年を迎えた実感がない。ただここ数日で、ずっと頭の中に居座り続けることはある。朽ちていく感覚。何がそうさせるのかは分からないが、そんな自分を意識せざるを得なかった。

肉体と知恵、精神の関係

肉体的な成長は20代前半を境に下り坂。その分洞察力などは増すものの、それもいずれは枯れる。精神は70代まで成長するらしいが、これを成長と呼べるかは疑問。必然的に使用頻度が高くなるだけで、能力そのものが向上するとは思えない。老年者の霊界志向は認めるとしても、直観力というより経験論によることころが大きい気がする。

Approximately 85 years of life in just 40 sec (YouTube)

人間誰しも未来を思い描くものだが、そのキャンバスは年齢と共に小さくなる。その一方で自ら歩んできた道を肯定するような傾向があり、よき理解者になれるとも限らない。絵を描きたくてもキャンバスすらなく、過去の絵を自慢げに眺めているだけの存在。いずれはそうなるかと思うと、どうにもやりきれない。

関連記事:Depends

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