Saturday, December 02, 2006

Half Double

ヤ軍30億円で井川落札「タテジマ好感」

首脳陣も明言しているように、オフの課題は投手力の強化で先発の補強が最優先事項。今のところ来季の先発が予定されているのはウォン、ムシーナ、ランディ・ジョンソン、パバーノの4人で、先発転向の可能性があるプロクターが加われば見かけ上枠は埋まる。

ただランディ・ジョンソンは手術後の経過次第、パバーノも体調的に万全とは言えずヤンキースとしてはもう1人確保しておきたいところ。現在までの獲得候補は以下の5人、去就が決まっていないクレメンスペティットは除外してある。(カッコ内は生涯成績)

バリー・ジート 左投左打 28歳
16勝10敗 防御率3.83(3.55) 三振率6.1(6.9) 被安打率.344(.311)

テッド・リリー 左投左打 30歳
15勝13敗 防御率4.31(4.60) 三振率7.9(7.7) 被安打率.333(.326)

ジェフ・スーパン 右投右打 31歳
12勝7敗 防御率4.12(4.60) 三振率4.9(5.1) 被安打率.343(.337)

ギル・メッシュ 右投右打 28歳
11勝8敗 防御率4.48(4.60) 三振率7.5(6.3) 被安打率.340(.339)

ビセンテ・パディーヤ 右投右打 29歳
15勝10敗 防御率4.50(4.06) 三振率7.0(6.3) 被安打率.338(.332)

見て分かる通りサイ・ヤングウイナーのジートが抜けた存在で、他の4人は言ってみればどんぐりの背比べ。このレベルなら若手のラズナーヘン辺りで十分事足りるため、獲得しても保険程度の補強にしかならない。

さて、本題の井川だが個人的には何年も前から注目していた投手。今回もご多分に漏れずその動向が気になっていた。残念ながら映像を見ることができないため数字からの判断になってしまうが、率直に言って通用すると思う。

井川 慶 左投左打 27歳
14勝9敗 防御率2.97(3.14) 三振率8.4(8.5) 被安打率.234

あくまで日本での成績なので単純比較はできないが、それを割り引いても先に挙げた4人よりレベルは上。球速も上位で、150キロ前後のストレートは変化球を生かす意味でも大きな武器になる。27歳と若く左投手、大きな怪我をしていないのも好材料だ。

ポスティングの応札時期が限定されている関係上、その評価が特別高くなかったとしても井川の獲得を優先せざるを得なかったという事情はある。ただ結果的に実力上位の先発投手を早い段階で獲得できたことはヤンキースにとって明らかにプラス。

キャッシュマンの発言によると井川は先発の一角として考えられているようで、契約が成立すれば来季の先発は一応のメドが立つことになる。残るはセットアッパーを中心とした中継ぎ陣の強化とファーストぐらいで、オフの補強は半分以上達成したと言っていい。

今後さらに先発投手と接触するようなら、来季のヤンキースにはかなりの期待が持てる。もしかしたらキャッシュマン自身の進退がかかっているのかも知れない。

一応落札額に触れておくと、正直言ってどう評価したらいいか分からない。松坂の60億と比較すればその実力に30億の差はないと思うので、相対的に得した気分にはなる。ただなりぽんさんの言うところのML-B-ubbleは否定できず、こちらまでその感覚が麻痺しているのも事実。独占交渉権だけのための30億はやはり高いと言うべきだろう。

ヤンキースの落札についてはレッドソックスに対する意地という見方もあるようだが、松坂への応札額とさほど変わらないことからスライドさせただけとも考えられる。松坂と井川の評価にそれほど差がなかったとすれば、ステディなキャッシュマンを評価したい。

ここに来てポスティングシステムについての見直し論が多方面で聞かれるようになった。詳しくは機会があれば書こうと思うが、このシステムが誕生したのは実に8年前。見直し論自体は数年前からあったにしても、今回のように何か事が起きないと表面化しないのには呆れてしまう。

さらに呆れたのは日本プロ野球選手会が主張するポスティングの問題点。プロ野球界の存続に関わる問題に対して、一本調子な利己思想を貫くとは常軌を逸している。労組の性質上そんなものかも知れないが、どこかの政党のような必要悪と勘違いしてはいないか。呆れついでに面白い記事を見つけたので紹介しておく。

日本式ポスティングシステムへの疑問

フロントと選手の双方が不満という点で見直しが必要と結んでいるが、お互いのベクトルは正反対。つまりどちらかがより満足すれば、どちらかはさらに不満になるわけで見直しどころの騒ぎではない。60億も井川も吹き飛んでしまった。

ジェイソン・シュミット 右投右打 33歳
11勝9敗 防御率3.59(3.91) 三振率7.6(8.0) 被安打率.310(.317)

関連記事:Hot Stove 2007-3

追記:獲得候補で重要な選手を1人忘れていた。素質は抜群だが故障がちなのが難点。現在のところ獲得の可能性は低い。

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