Friday, October 27, 2006

Look Back To ALDS 2006-6

数字による比較とまとめ。

レギュラーシーズンにおける防御率と平均得点からその力関係を比較してみる。
(リーグ平均防御率は概算、カッコ内はプレーオフ)

リーグ平均:防御率4.56 得点4.96
タイガース:防御率3.84 得点5.07(5.5)
ヤンキース:防御率4.41 得点5.74(3.5)

ヤンキースの防御率/リーグ平均防御率*タイガースの平均得点=4.90 #1
タイガースの防御率/リーグ平均防御率*ヤンキースの平均得点=4.83 #2

#1と#2は期待値としてのタイガースとヤンキースの得点。リーグ全体の総当りではないのであくまで参考程度にしかならないが、これを見る限り力関係はほぼ互角。次に実際のプレーオフの得点との比較。

タイガース:5.5/#1=112%
ヤンキース:3.5/#2=72%

見て分かる通り力を出し切ったタイガースと出し切れなかったヤンキースが浮き彫りになっている。さらに両チームの勢いを計るため2死後の得点について調べてみた。
(全得点に占める割合/打点をあげた打者に占める割合/得点圏打率)

タイガース:41%/56%/.333
ヤンキース:50%/43%/.154

特筆すべきは得点圏打率でヤンキースの倍以上、数字自体も驚異的。以上のことからヤンキースが持てる力を発揮できなかっただけでなく勢いでも圧倒されたことが分かる。

何度となく書いているが安定して勝つという意味合いにおいて投手力は不可欠。必然的にプレーオフのような短期決戦ではさらに重要になってくるわけで、一般的にも敗退の原因は投手力の差という見方が大半ではある。ただ個人的には投手力よりもむしろ勢いの差が結果に繋がったように思う。

勢いに多少の相関性があるのは事実としても今回はその絶対値自体が小さすぎた。その原因は以前書いたようにチームの結束力と士気によるところが大きい。

タイガースの監督リーランドは春季キャンプでヤンキースを手本にするよう指導したと伝えられている。そして若い選手たちにこう言い続けたそうだ。

「ヤンキースの選手のような特別な自信を身につけろ」

実際タイガースはそれを実践し結束力のある強いチーム作りに成功したが、逆に手本となったヤンキースはそのチームカラーまで失っていた。リーランドの言葉を借りれば今季のヤンキースに特別な自信などなかったのである。

また可能性をことごとく引き下げた采配も決して軽視できない敗因の一つ。采配のせいで負けたとは言えないが、少なくともこれほど惨めな結果にはならなかったはず。

来季のヤンキースもGMキャッシュマンと監督トーリという布陣。スタッフの人事などテコ入れはしているようだが、トップが代わらない以上基本的な体質改善は望めない。

それどころかシェフィールドの来季オプションを行使するという報道もある。もしこれが事実でライバルチームへの流出を阻止するためだけのものだとすれば、ヤンキースはすでに進むべき道すら見失っていることになる。

ヤンキースを形容する時よく引き合いに出されるのが巨人。資金力にモノを言わせて形振り構わず選手を補強するところに共通点があるからだろう。

今まではそれに対して否定的立場をとってきたが、さすがにここまでくると同意せざるを得ない。ここがニューヨークではなく、松井がいなければヤンキースファンをやめてもいい。正直言って今はそんな心境だ。何よりファンでいることを誇りに思えない。

とにかく明日にでもシェフィールドのTシャツを買いに行くつもり。
そしてそれを着て少しでも彼の気持ちを代弁したいと思う。

Look Back To ALDS 2006-1

Wednesday, October 25, 2006

Look Back To ALDS 2006-5

采配についての補足。(いずれも第2戦)

3-3と同点の7回1死3塁、先発ムシーナがグランダーソンに決勝3ベースを浴びた場面。ノーヒットでも勝ち越されてしまう状況を踏まえると、以下のような選択肢が考えられる。

1. グランダーソンを敬遠
2. リベラに継投
3. リベラ、またはブルーニーに継投
4. マイヤーズに継投

1. 1点も与えられない状況なら併殺狙いで敬遠する価値は十分。グランダーソンの盗塁も考えられるが、せっかくの好機を潰すリスクは負わないはずでその可能性は低い。

2. 強力なタイガースブルペンを考えればここでの失点は命取りになり兼ねない。つまりどんな手段を使ってでも無失点に抑える必要があり、最も実現性が高いのはリベラの投入。

3. この場面で最も望まれるのは三振。したがって三振を期待できる投手に継投するのも有効な手段と言える。具体的にはリベラかブルーニーが適任。

4. グランダーソンは左打者なため左のマイヤーズという選択肢もある。個人的にはあまり賛成できないが、こういう時こそマイヤーズの存在価値がある。

第1戦を勝ったことで余裕があったのかムシーナを信頼していたかは分からないが、続投させるなら敬遠ぐらい思いつかないものか。

采配とは事前に予測して行動を起こすものであって、事が起こってから行動するのなら子供にでもできる。結局のところシーズン中から何度となく言っている一本調子な采配が次から次へと可能性を摘んでしまっているわけだ。

3-4と1点ビハインドの9回、先頭の松井がヒットで出塁し代走にカブレラ。問題なのはこの後で、ヤンキースベンチがゲームセットの瞬間まで何の策も講じなかったことにある。

ポサダ、カノーとバントが苦手な打者が続くとしてもせめてエンドランぐらいはできるはず。仮にこれが第4戦で後がない状況なら分からなくもない。エンドランや盗塁で同点のランナーを失うリスクがあるからだ。ただしその場合でも併殺は回避できないため何らかの策は必要になる。

9回1点ビハインドという状況は負ける可能性の方が高い。しかも第1戦は勝っているのだから、ここは多少のリスクを払ってでも同点のお膳立てをすべき場面。黙って見ているだけで事態が好転するほど野球は甘くない。

MLBライターのsyachoさんの言葉を借りれば、ヤンキースというチームは個々の能力に頼り切った野球しかできない。言い換えれば指揮官は不要、少なくとも8億以上の年俸を払う価値などまったくない。

Look Back To ALDS 2006-1
Look Back To ALDS 2006-6

Friday, October 20, 2006

Look Back To ALDS 2006-4

第4戦の先発についての補足。

第3戦でも書いたが、1勝2敗と後がなくなったヤンキースは当初の先発予定ライトをスキップしなかった。トーリの説明によれば次の2つが理由。

1. あと2回勝つ必要があるからそれが後でも先でも同じ
2. 将来のあるウォンに無理をさせたくない

1. が正当性を持つのは第4戦目に勝っても負けても状況が変わらないという前提でのみ発生する。ところがざっと考えただけでも以下のような客観的な状況の違いがあり、正当性はないに等しい。

・ローテーション通りなら5戦目の先発は第1戦で攻略したロバートソン
・ホームアドバンテージ
・あと2勝と1勝の士気の差

まったく別の観点で考えてみてもやはり同様のことが言える。仮にチームが機械だとすればそれぞれのスペック比で勝敗が決まるため、先に勝つことに意味はない。ただし人間同士である以上その勝敗はデジタルに決まるものではなく、不確定要素に左右される割合も少なくない。

その一方で、先に負けることはプレーオフがトーナメント方式である限り確定的なデメリットになる。つまりそれを避けることがこの場合最良の選択であり、そういう意味でも目の前の1勝に拘るべきなのである。この程度の理屈さえ分からないとは情けない限りだ。

2. は第4戦に登板させると中3日となり故障が心配という趣旨。スポーツ医学についてはまったくの無知なので推測の域は出ないが、球数制限をしての登板という選択肢はおそらくあったと思う。

またNLCSの初戦に先発したカージナルスのウィーバーとメッツのグラビン。この両者は中3日で第5戦の先発が予定されていた。(雨で延期になったため結果的には中4日)肩や肘に対する負担は個人差があるため一概には言えないが、それを度外視すればスポーツ医学の見地から言っても中3日の登板は可能だったことになる。

それとどの時点でウォンをニューヨークに戻す決定がなされたのかも気になる。仮にそれが第3戦終了以前なら事前に選択肢を減らしていたことになり、当然問題になってくる。

さらに付け加えればウォンに将来があるのは分かるが、中継ぎのプロクター(今季メジャー最多の83試合に登板)には将来がないのかと言いたくもなる。

今やエースのウォンと中継ぎのプロクターでは比較にならないかも知れないが、プロクターを酷使したのは犠牲を払ってでも地区優勝を目指した結果に他ならない。それならばウォンにも同様の犠牲を払ってワールドチャンピオンを目指すべきではなかったのか。

普段から優等生的な発言しかしないトーリだが、結局のところ中身はこの程度。シェフィールドの例でも分かるように彼にとっては選手など使い捨てなのだ。参考までにそのプロクターは肘の故障で現在検査中。

買わない宝くじは当たらない。
次を勝たなければその次もない。
ALDSにおける最大の失態と言えるだろう。

Look Back To ALDS 2006-1
Look Back To ALDS 2006-5

Tuesday, October 17, 2006

Look Back To ALDS 2006-3

今回はオーダーと打順についての補足。

プレーオフのオーダーは主に実績と相性を重視して決められた。実績を重視したのはプレーオフはレギュラーシーズンとまったく別のものという考えからで、相性を重視したのはそれが理論的に見えたため好結果に繋がると考えたからだろう。

前者で言えば確かにプレーオフとはある種特別で、その成績は選手の能力やシーズン成績と必ずしも比例しない。またこれには選手のメンタル的な要素が大きいことから考慮する材料にはなり得る。

実際シーズン終盤4番に定着していたAロッドが3戦目までは6番、第4戦では8番に降格した。プレーオフの実績(過去8試合で打率.111)からすれば降格は妥当かも知れない。ただ本人レベルで考えるとプレーオフになった途端降格では信頼されていないと感じるのも無理はない。したがって他の選手への影響は別としても、Aロッド自身の士気は確実に下がっていたはずだ。

Aロッドを犠牲にしても得点効率を上げたいというのは分かるが、あれだけの打者が実績を理由に8番とはいくら何でもやり過ぎというもの。単純に戦力ダウンにしかならないと考えるのが常識的だろう。結果的には14打数1安打なのだから下げて正解と思うかも知れないが、それを言うならスタメンを外すのが正解であってあくまで結果論に過ぎない。

次に後者の相性だがこれが大いに問題。強引な表現を承知で言えば、相性を重視するというのは占いに近い感覚なのである。

野手にしても投手にしても選手というのは日々そのスタイルを変えていくもので、また能力が伸びている選手もいれば逆に衰えていく選手もいる。つまりシミュレーションゲームのように各パラメータが数値化されていて、それが変化しないという条件の下でしか相性というのはその意味を持たない。相性はあくまで参考程度に止めるべきであって、基準にすること自体ナンセンスと言える。

それとこれはシーズン中からずっと疑問に思ってきたことだが、デーモンが1番に固定される理由が分からない。デーモンの今季の出塁率は.359で試合数の少ないシェフィールドを除けばレギュラー陣の中では最も低い数字。また生涯出塁率は.353と平凡で、一般的にも1番向きとは言えない。さらに過去10試合(レギュラーシーズン)の打率は.176と調子を落としており、これも同様に最も低い数字である。

上記二つの事実を考慮すると、プレーオフの打順を考える上での優先順位筆頭はAロッドではなくこのデーモンなのは明らか。デーモンについては後日触れる予定だが、盲目的に来季もデーモンを1番で起用するようでは本質的に何も改善されないだろう。

話を元に戻すと相性を重視するぐらいならこの調子を重視するべき。以前にも触れたが打撃には好不調の波があり、それはある程度の規則性を持った周期で繰り返される。そういう意味からすると特に好調時と不調時のそれは相性よりは確実にアテになる。

以下はプレーオフの打率上位4人とその過去10試合(レギュラーシーズン)との比較。
(プレーオフ/過去10試合)

ジーター.500/.400 ポサダ.500/.241 アブレイユ.333/.324 松井.250/.414

それほど顕著な結果ではないが、少なくとも相性よりは信頼できることは分かってもらえたと思う。参考までにAロッドは0.71/355で前述の士気の問題と本質的なメンタルの弱さによるもので例外と言っていい。

またヤンキース首脳陣がいかに相性に頼っているかは、相手打者とのマッチアップノートを穴の開くほど見ていることで容易に説明がつく。継投すればするほど失点する理由の一つはまさにこれで、時として能力より相性が優先されてしまうことにある。相性がいかにアテにならないかが分かるだろう。

打順を入れ替えたところで結果に大差はなかったとは思う。
ただ一つ言えるのは勝つ可能性を引き上げる選択肢は確実にあったということ。
確率を優先するのが指揮官の務めな以上、それを怠った責任は重いのである。

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Look Back To ALDS 2006-4

Friday, October 13, 2006

Look Back To ALDS 2006-2

このシリーズの敗因は大ざっぱに言って打てなかったことにある。
そこで今回は打撃面を中心に考えてみる。

ヤンキースのシリーズ打率/得点は.246/3.5。レギュラーシーズン.285/5.7と比べるとかなり低い。また3番から6番の平均打率は.207でチーム全体のそれを大きく下回っている。つまり打てなかった上に得点効率も悪かったことになる。

チーム防御率メジャー1位のタイガースが相手なためレギュラーシーズンの数字はあくまで参考程度。ただそれを考慮してもヤンキース打線が本来の力を出し切れなかったのは事実。以下に考えられる理由を4つあげてみた。

1. タイガースの投手陣がそのポテンシャルをフルに発揮した
第3戦に先発したロジャースがまさにそうで、たとえヤンキース打線が好調だったとしても結果に大差はなかったと思う。第4戦のボンダーマンは出来がよかったのは確かだが、先日触れたように自滅さえしなければ攻略は可能だった。

2. 単に巡り合わせが悪かった
打線は水物と言われるようにシーズン中ならこういうことは何度もあることで、それがたまたまプレーオフで起こってしまったとも考えられる。

3. ヤンキース打線の士気が下がっていた
早々と地区優勝を決めたこと、チーム内の不協和音、定まらない打順、敵地など原因になり得る要素は多く結束力が薄れていた可能性は十分にある。

4. 体調面でヤンキース打線が万全ではなかった
実際ジアンビはオフに手術、松井の左手首はまだ完調ではなくデーモンも慢性的な故障を抱えていた。つまり外見と中身にかなりの差があったとすればこの結果もうなずける。

この4つの事柄全てが少なからず結果に影響しているのは間違いなく、そういう意味では負けるべくして負けたという結論になる。ただし3.の士気については改善の余地はあったはずで、スポットを当てるとすればここだろう。

チーム内の不協和音を考える上で真っ先に思い浮かぶのがAロッド。シーズン中の怠慢プレーや狂言めいた発言などチーム全体に与えた影響は少なくない。ジアンビがAロッドを甘やかせるなというような進言をしたようだが、その真偽は別としても指揮官が存在する以上責任は明らかにトーリにある。

次にヤンキースが外野手の補強を優先したこと。松井もそうだがシェフィールドの怪我は言ってみれば公傷。しかもヤンキースに在籍していた2年間は申し分ない成績でその貢献度は間違いなくトップクラス。そんな選手を大事に扱わず、ところてんのような感覚で安易にコンバートではチームがまとまるわけがない。

すでにシェフィールドがトーリ批判をしてしまった後なので説得力に欠けるが、シェフィールド自身の言葉を借りれば選手の気持ちをまったく考えていなかったと言える。これは外野手の補強を決めた時点で想定できることで、それに対処できなかった首脳陣の責任は大きい。

もう一つは第3戦以降のオーダー。2戦目までは4.5.6番にそれぞれシェフィールド、ジアンビ、Aロッド。ところが第3戦はシェフィールドがスタメンを外れ4戦目では同じくジアンビがスタメンを外れている。

選手のプライドを優先しろとは言わないが、少なくとも2戦目まで4番を打った選手が根拠のない相性を理由にスタメンから外れるのは論外。またジアンビは故障が理由とも考えられるが、カブレラを試しかったのだろうというジアンビの発言からその可能性は低い。

つまり選手が過剰なため選択肢が多すぎてトーリが混乱したのが全ての原因。結果的にチームの和まで乱すことになったのである。

以前ヤンキースの強さはその結束力にあると書いたが、今季に限ってはそれが機能しなかった。機能しなかったと言うより、少なくともプレーオフの時点ではそれ自体がなかったと言う方が正しいかも知れない。

タイガースの戦いぶりを見れば分かる通りチームの士気は勝敗を大きく左右する。
この観点で考えれば全ての責任がGMキャッシュマンと監督トーリにあると言っていい。

Look Back To ALDS 2006-1
Look Back To ALDS 2006-3

Thursday, October 12, 2006

ALDS Still Continued

10月11日、ヤンキースのライドル投手が飛行機事故で他界。享年34歳。

人間いつかは死ぬものだが、たとえそれがどんな人生でも死の直前ぐらい穏やかな気持ちで死にたいもの。ライドルは新天地のヤンキースで満足な成績を残せなかったためオフの放出は必至だった。数々のチームを渡り歩いた経緯があるとは言え本人の胸中は複雑だったに違いない。それを考えるとまったくの他人ながら無念の思いがこみ上げてくる。

これはなりぽんさんのブログで知ったのだがヤンキースがALCSに進出していれば事故が起こる可能性は低かったらしい。ALDSの悪い流れにはまだ続きがあったということなのか。生きてさえいてくれれば酷評もできたが、それさえできないのはこの上なく悲しい。

最後にヤンキースの首脳陣に言っておきたい。死者への敬意のつもりだろうが思ってもいないことを平然と口にするのは非常に不愉快。そんな言葉を望んでいるのはあなた方自身であって本人や遺族ではない。偽善もたいがいにして欲しい。

Wednesday, October 11, 2006

Good For Nothing

来季のヤンキースにトーリの続投が正式に決まった。

この記事によると結果については自己正当化、来季は投手陣の整備を第一に考えているとのこと。トレード期限前の7月、トーリは外野手の獲得が最優先事項だと明言していた。実際アブレイユを獲得しそれで勝てると信じていたはずである。

ところがプレーオフに負けた途端平然と投手力の重要性について言及し、これが私の人生などと哀れみを請うような発言をするとは羞恥心のかけらさえ感じられない。こんな指揮官にいったい何を望めるというのだろう。

チームの結束力という意味では確かにプラスな面がないわけではない。ただしこれではプレーオフの屈辱が何も生み出さなかったことになる。怪我をして一回り大きくなって帰ってきた松井のように、それを教訓としなければ物事は決して好転しないものである。

内容は吟味されないままその実績や結果だけが一人歩きをし、こんな一貫性のない発言までもが闇に葬らてしまうとしたらこの世の中に希望など持てるはずがない。

あまりいい言葉ではないが正直ヘドが出る思いだ。

Tuesday, October 10, 2006

Look Back To ALDS 2006-1

プレーオフの敗因などを何回かに分けて考えてみたい。

敗戦した3試合のうち第3戦と4戦は完敗で第2戦が1点差の惜敗。したがって試合単位で考えれば第2戦がポイントになる。第2戦はデーモンの2ランHRでいったんは3-1と逆転。しかしその後タイガースに3点を許しそのまま押し切られた。ただ少なくとも4回までは2点リードしていたのだから勝てる可能性はあったはずである。

YESのマイケル・ケイがポストゲームショーで言っていたのだが、その3点をあげた打者のカウントは全て2-0だったらしい。仮にそれが事実だとすれば投手に有利なカウントから失点を許したことになり、当然ポサダのリードが問題になってくる。

打たれたムシーナは自分で投球の組み立てをするタイプなので、全ての責任がポサダにあると言うつもりはない。ただし決勝打となった3点目は以前にも触れた通り明らかに配球ミス。またこの3点中2点は2つのパスボール(記録上ワイルドピッチも含む)が引き金になっていたことも強調材料だ。

このゲームに関して言えば序盤の拙攻や打順の巡り合わせ、先発のムシーナなど敗因は他にいくつもある。またシーズン中と勘違いしているかのような投手の起用法も大きな要因だろう。ただ個人的に引っかかるのは守備の要と言われる捕手までも打撃を優先してしまうチーム作り。これについては後日書くつもりだが、打撃偏重と言うより野球の勝ち方を知らないという言い方が適切だと思う。

Look Back To ALDS 2006-2

Monday, October 09, 2006

ALDS 2006 @ DET G-4 L3-8

Over and out for Yankees

最後まで流れを引き寄せられず完敗。
ヤンキースは2年連続のディビジョンシリーズ敗退。

ヤンキースの先発ライトは3回持たず4失点(自責点3)で降板。相変わらず球が高く制球も悪かったが不可解な主審の判定(2回のロドリゲスへの3球目)や味方のエラー、ラッキーなヒットが全て得点に繋がり、前日のランディ・ジョンソンほどではないにしても多少不運ではあった。

またここまで不振のオルドニエス(.182)とモンロー(.167)にHRを打たれたのが何とも感慨深い。このシリーズのタイガースの勢いを象徴しているようで、今から思えばこの時点で大勢は決していたのかも知れない。

ライトを早々と降板させたヤンキースベンチだがこの後が実に滑稽。驚くことにシーズン中とまったく同じパターンの継投なのである。

ライドル(3失点)→ブルーニー→プロクター(1失点)→ファーンズワース

何度も書いているが投手は能力順に起用するのがセオリー。シーズン中は体調管理を考慮した長期的な展望が必要なため必ずしも当てはまらないが、後がないこの状況で同じことをやっていては負けるのも当然。結局ブルペンで最高の投手であるリベラはこのシリーズたった1イニングの登板。宝の持ち腐れとはまさにこのことで無能にもほどがある。

ヤンキースはこの日も8回まで4安打と打線が沈黙。ただ前日とは違い攻略できなかったのではなく自滅に近い。以下は相手先発ボンダーマンの過去5試合の投球数、ストライク率との比較。(投球数は9回に換算)

過去5試合:投球数146 ストライク率60% 昨日:投球数107 ストライク率71%

投球数の少なさは好球を待ちきれず早いカウントから打ったためで、ストライク率の高さはボール球に手を出したことに他ならない。そのため打ち損じが多く結果的に相手投手を助けてしまったという構図。後がないので焦るのは無理もないが本来の力を出し切れなかったのは残念で仕方がない。

屈辱的な幕切れではあったが今季のヤンキースは終わった。
まだまだ書きたいことはたくさんあるが今はその気力がないので後日にする。
最後に精一杯頑張った選手には心から感謝したい。

Saturday, October 07, 2006

ALDS 2006 @ DET G-3 L0-6

Season on brink for Yanks

素晴らしいピッチングを見せた相手先発ロジャースの前に打線が沈黙。
ツキもなくタイガースの勢いに圧倒されシャットアウト負け。

まずはヤンキースの先発ランディ・ジョンソン。思った通り内容もロクに見ず、シーズンの不調をひきずったようなピッチングなどと報道されているが決してそんなことはない。ストレートは最高で157キロ、スライダーも144キロを計測し最近では間違いなく一番の出来。

しかもヘルニアのため痛み止めの注射を打っての登板で、さすがランディと思わせたほどである。結果に繋がらなかったのはタイガースの勢いが勝ったと見るべきで、不運という他はない。以下はそれを象徴する2回のタイガースの攻撃。

ギーエンヒット→ロドリゲスヒット(バットの先で当たり損ね)→無死1.3塁→
ケーシーヒット(併殺シフトが災い、通常ならセカンドゴロ)→0-1→
アブレイユが3塁へ送球するが1塁ランナーロドリゲスはセーフ(微妙な判定)→
無死1.3塁→インジ三振→1死1.3塁→グランダーソンセカンドゴロ→0-2→
2死1塁→ピックオフプレー(ファーストジアンビが悪送球)→2死2塁→
ポランコヒット(ゴロでセンター前)→0-3

クリーンヒットはギーエンの1本だけ。他の3本はいずれも打球が野手の間に飛んだもので当たりも決してよくなかった。微妙な判定は何度もスローで見たがほぼアウト。結果論だがアウトなら1失点で終わっていた。またグランダーソンのセカンドゴロは併殺崩れ。カノーのスーパープレーも報われず1塁は間一髪セーフ。ミスもあったが全てがタイガースに味方したような格好で、ランディ・ジョンソンには辛いイニングとなってしまった。

0-3の6回2死ランナーなし、ギーエンの打球はショートへのライナー。ジーターがジャンプするがグラブに当てたものの捕球できず2死1塁。続くロドリゲスに3塁線を破る2ベースを打たれ4点目を失うがこれは明らかにベンチのミス。

3点ビハインドの2死1塁、この場面で最も警戒しなくてはいけないのは長打。したがってサードのAロッドはベースよりに守るべきだが無能なベンチは何の指示もせず通常の守備位置。こんなものは基本中の基本で、何度も言っているが揃いも揃ってこの体たらく。よくプロのユニフォームを着れるものである。

一方のヤンキースは9回を除いて毎回出塁するが進塁したのはたったの1度。打線の不甲斐なさは言うまでもないがエンドランさえしなかったベンチにも大いに問題がある。

またこの日はシェフィールドがスタメンから外れ代わりにバーニーが起用された。トーリの説明によると相手先発ロジャースとの相性が理由らしいが、ここまでの2戦に4番を務めた選手が相性を理由にベンチとは常軌を逸している。だいたい相性がいいと言ってもそのデータには今季以前のものが当然含まれているわけで、能力が衰えたバーニーにそれが当てはまるわけがない。結果は好機の三振を含むノーヒット2三振。

気になったので今調べてみたが、驚いたことにヤンキースは今季ロジャースとの対戦が一度もなかった。言葉を失うとはまさにこのこと。こうやって書いていても何と形容したらいいのか分からない。さらにこれがMAJOR JPの記事によると客観的なデータに基づいたとなる。しかも署名記事とは恐れ入る。

ロジャースの出来がよかったのは間違いなくそれが敗因ではある。ただベンチの無能さや審判の判定、ジアンビの悪送球など負け方が非常に悪い。

後がなくなったため次のゲームは先発4番手のライトを飛ばすと思われたが、第1戦に先発したウォンは5戦目に備えてニューヨークに待機中とのことでその可能性はゼロ。それについて試合後の会見でトーリがこんなコメントをしていた。

「我々はあと2試合勝たなければいけないから」

つまり2試合勝つ必要があるから先に負けても後に負けても同じという理屈だ。次のゲームに勝てば投手起用において選択肢は確実に広がるわけで同じであるはずがない。ウォンの故障が心配なら50球限定でもいい。とにかくもう負けられないのだから支障のない範囲で次のゲームに賭けるべきである。まったく強気なのか無能なのか分からないがローテーションはあくまで守るつもりのようだ。

いずれにしても第4戦はライトに決まった。以前書いたことが現実になってしまったようで少々気味が悪いが、ここはライトに期待するより打線に期待するしかない。雰囲気にのまれず持てる力を発揮できればまだまだ勝算はある。

過去のデータによると2勝1敗のチームがリーグチャンピオンシリーズに進出する確率は76%。ましてやアウェイと限りなく分が悪い。ヤンキースがもろさを見せるか、または底力を発揮して踏みとどまるか。全ては数時間後に分かるだろう。

Friday, October 06, 2006

ALDS 2006 vs DET G-2 L3-4

Yanks settle for one at home

中軸が大ブレーキ、守りのミスもあり逆転負け。

0-1と1点ビハインドの2回無死1.2塁、打者は9番カノー。結果はサードゴロ、続くデーモンとジーターも凡退しこの回無得点で攻撃終了。

まだ回は浅く差も1点。カノーはバントが上手くなくその打率(レギュラーシーズン.342)を考えても打たせたのは間違いとは言えない。ただし打たせることが大量得点に繋がりやすいかと言えば実はそうとも言えないのである。

例えばシングルヒットが出たとして2塁ランナーが生還すれば1得点で無死1.2塁、そうでなければ無死満塁になる。いずれのケースも併殺というリスクを残したままなので、期待値としてはそのイメージほど高くはない。もちろん長打が出ればその限りではないが、それを基準に考えて野球をやれば確実に負ける。念のため言っておくと1得点した後にバントさせるような緻密な監督なら話は別。

また無死1.2塁というのは進塁すれば2.3塁と好機、併殺なら2死3塁と次の打者次第で表裏一体の側面を持つ唯一の状況である。つまり打たせることは打者の能力を無視すれば丁半博打のようなもので、あまりいい作戦とは言えない。

さらに言えば前日も触れたがアドバンテージの問題もある。それについてはそちらを読んでもらうとして面白いデータを紹介する。ポストシーズンが対象だが先取点をあげたチームは126勝70敗(.643)と非常に高い勝率なのである。ヤンキースの今季の勝率.599と比較すると分かりやすい。

もちろん先取点をあげるというのは失点せず得点することに他ならず、言い換えれば投打のバランスが取れた強いチームなので当然と言えば当然。ただそれを考慮してもアドバンテージを取った有利さは少なからず関係しているはずである。

前置きが長くなって申し訳ないが、結果論ではなくリーグ屈指のタイガース投手陣を加味すればここはバントをするべきだったと思う。結局これがこの日のヤンキースにとって唯一の好機だった。何度も言っているが、先が分からない以上取れる時に取らないとこうなってしまうわけだ。

3-1と2点リードの5回無死2塁、ムシーナのワイルドピッチでランナーは3塁へ。1死後グランダーソンにセンターへ犠牲フライを許し3-2と1点差に詰め寄られる。3-3と同点の7回無死1塁、パスボールと送りバントで1死3塁のピンチに代わる。ここで再びグランダーソンに3ベースを打たれ、結局これが決勝点となってしまう。

いずれも守備の乱れが得点に繋がってしまったのだが問題なのはポサダ。ワイルドピッチはショートバウンドではあったが捕球が難しい球ではなく、止めていれば無失点だった可能性が高い。パスボールはもちろん論外。おまけに9回無死1塁でど真ん中を見逃しの三振とまったく精彩がなかった。

普段から捕球力に問題があり、怠慢なせいかランナーがいても必死で止める姿勢があまり見られない。打撃力が高いのでバランスは取れているかも知れないが、最も重要なポジションである捕手の役割を犠牲にするチーム作りにはどうも賛成できない。こういう野球をやるチームに真の強さなどあるわけないのである。

この日の松井は前日と打って変わって3安打。ただ4度の打席で3度が先頭打者といずれもランナーがいない場面。逆に3番から6番はたったの1安打と実に巡り合わせが悪い。

初戦の采配ミスで連投できないリベラを登板させたため2戦目はリベラなしで戦わざるを得ない状況だった。ところが恵みの雨で試合は延期。ヤンキースにツキがあると思っていたが、これを見るとそうでもなさそうだ。

追記:決勝打となった3ベースは高めの吊り球が甘く入ったもの。ここは外野フライでも得点されてしまうケースで高目と外角は禁物。三振を取りにいったのだろうがカウントは2-0、他に選択肢はあったはずで明らかに軽率なリードである。

Thursday, October 05, 2006

ALDS 2006 vs DET G-1 W8-4

Five-run third proves pivotal

序盤にアドバンテージを握ったヤンキースがそのまま押し切りまずは1勝。

両チーム無得点の2回、タイガースは2ベースと四球で無死1.2塁のチャンス。エンドランを試みるが次打者ロドリゲスが空振りしたため2塁ランナーオルドニエスは3塁タッチアウト。後続も倒れこの回無得点で攻撃終了。

さらに翌3回、先頭のテームスが2ベースで出塁しまたも無死2塁とチャンス。今度は動かず続くインジはサードゴロでランナーはそのまま。続くグランダーソンにヒットが出たものの次打者ポランコがショートへの併殺打でチャンスを潰す。

試合後の放送で解説のデビッド・ジャスティスが以下のようなコメントをしていたのだが、結果論にしても的を得ていると思う。

「きちんと送りバントしていれば2-0と試合の主導権が握れた」

何度か書いているが野球が点取りゲームな以上、取れる時に1点でも多く取っておくことが勝利への最短距離。短期決戦のプレーオフであればなおさらである。流れという言葉を持ち出す気はないが、リードとビハインドでは少なくとも攻め方や守り方に違いが生じる。

競馬に例えれば資金が豊富ならオッズは低くても可能性の高い馬券を買えるが逆なら穴狙いになる。長期的に見ればどちらの勝率が高いかは言うまでもない。タイガースが投手力主体のチームということを考えてもここは確実に得点して主導権を握るべきなのだ。

個人的にはこの3回の併殺が最も印象的で、最大のポイントだったように思う。難しい打球を捕ったジーターはもちろん素晴らしいが、それよりカノーのスローイングを見て欲しい。強肩だからこそなせる業、しかもあの体勢からである。

これを見てもカノーの守備に上手さを感じない人は野球など語らないでもらいたい。併殺が成立した瞬間のジーターのガッツポーズもファンにとってはたまらない。

そのジーターだがこの日は全てクリーンヒットの5打数5安打。シーズン中でも滅多にできないことを大舞台で平然とやってのける。プレッシャーが集中力に変わるのだとは思うが常人には到底理解できないレベルだ。試合後マイケル・ケイにMVPのことについて聞かれていたがまったく意に返さない様子。明らかに並の選手とは視点が違う。だからこそミスターオクトーバーなのだろう。

7-3と4点リードの7回2死ランナーなし、打者は左のグランダーソン。ここでベンチは先発のウォンから左のマイヤーズに継投する。この時点でのウォンの投球数は93でグランダーソンは.260の打者である。オティースのような強打者なら分からなくもないが、それは後にマニーが控えているからこそ整合性があるのであってこの場合はまったくの論外。左対左なのは確かだが能力を無視しての継投はお粗末という他はない。

結局継投がピンチを招くいつものパターンでHRを打たれ3点差になってしまう。勝ったからいいようなものの、初戦からこれでは先行きは非常に不安。ミスがなければ9回で5点差、確実にリベラを温存できたはず。次のゲームでこのツケを払わされなければいいがそう甘くもないだろう。

ダメ押しのソロHRなど5安打3得点、守備でも貢献したジーターが評価の中心。他では6.2回3失点とゲームを作った先発のウォン、2本のタイムリーヒット(3回無死2.3塁、0-0 / 6回2死2.3塁、5-3)で4打点のアブレイユ、3点目となるタイムリーヒット(3回無死2塁、2-0)を打ったシェフィールドと決勝2ランHR(3回無死1塁、3-0)のジアンビが対象。

MVP Points Total/D Jeter3 C Wang2 B Abreu2 J Giambi2 G Sheffield1

Wednesday, October 04, 2006

Playoff Roaster 2006-2

Jorge Posada / ホーヘイ・ポサダ 捕手 35歳 右投両打
143試合 打率.277 23HR 93打点 65得点 64四球 3盗塁 出塁率.374
いわゆる打てる捕手。ストレートには滅法強いが逆に変化球は苦手。捕手としては捕球力、リードともに平均以下だが今季の盗塁阻止率は高い。送球をベースの前で受ける癖があり、そのせいでランナーを生還させてしまうことがある。

Jason Giambi / ジェイソン・ジアンビ 一塁手 35歳 右投左打
139試合 打率.253 37HR 113打点 92得点 110四球 2盗塁 出塁率.413
シフトを敷かれるためシングルヒットが非常に少なくそれが打率の低さに繋がっている。HRバッターのイメージが強いが出塁率が高いので好機を演出していることも多い。極度のアッパースイングで高めは苦手。守備は意外と上手い。

Robinson Cano / ロビンソン・カノー 二塁手 24歳 右投左打
122試合 打率.342 15HR 78打点 62得点 18四球 5盗塁 出塁率.365
メジャー2年目にしてすでに完成の域にある好打者。どのタイミングでも同じスイングができるため広角に打てる。高めのボールに手を出しやすく出塁率が低いのが今後の課題。守備は上手く強肩。名前の由来はジャッキー・ロビンソン。

Alex Rodriguez / アレックス・ロドリゲス 三塁手 31歳 右投右打
154試合 打率.290 35HR 121打点 113得点 90四球 15盗塁 出塁率.392
ボールを遠くに飛ばす技術はメジャー屈指。走攻守揃った素晴らしいアスリートだが精神的な幼稚さが難点。追い込まれてもアプローチを変えないため見逃しの三振が多い。得点圏打率は年々下降。特にここ一番ではあまり頼りにならない。

Derek Jeter / デレク・ジーター 遊撃手 32歳 右投右打
154試合 打率.343 14HR 97打点 118得点 69四球 34盗塁 出塁率.417
インサイドアウトスイングの申し子。ポイントがかなり軸足よりなので右方向の打球が多い。野球に必要なものを全て兼ね備えていて精神的な支柱でもある。空中スローと背中越しのバスケットキャッチが有名。ミスターオクトーバーの継承者。

Hideki Matsui / 松井秀喜 外野手 32歳 右投左打
51試合 打率.302 8HR 29打点 32得点 27四球 1盗塁 出塁率.393
得点圏打率が自身の打率を上回っている典型的なクラッチヒッター。大舞台にも強くそれを楽しめる強さがある。外角にはほとんど手を出さず甘い球をひたすら待つタイプ。認知度は高く立派なヤンキーとしてファンに受け入れられている。

Johnny Damon / ジョニー・デーモン 外野手 32歳 左投左打
149試合 打率.285 24HR 80打点 115得点 67四球 25盗塁 出塁率.359
極端なオープンスタンスと右手1本で打つのが特徴。外角の球は当てるだけしかできないため長打になりにくい。守備範囲は広く捕球力も高いが肩はメジャーワーストと言われている。バッターボックスから左足がはみ出しているのが面白い。

Bobby Abreu / ボビー・アブレイユ 外野手 32歳 右投左打
156試合 打率.297 15HR 107打点 98得点 124四球 30盗塁 出塁率.424
驚異的な出塁能力が特徴で走攻守全てがハイレベルな万能選手。ただそれ以外は突出したものがなく女子テニスで言うと往年のヒンギスに近い。去年のHRダービーで優勝したように長打力はある。ベネズエラ出身でいつも陽気。

Gary Sheffield / ゲーリー・シェフィールド 外野手 37歳 右投右打
39試合 打率.298 6HR 25打点 22得点 13四球 5盗塁 出塁率.355
とにかくストレートに強くそれがどんなに速くても苦にしない。典型的なプルヒッターだが逆方向に打つのも下手ではない。バットのヘッドが下がらないため打球の多くはラインドライブ。捕球力は平均レベルで肩はいい。RBIマシンの異名を持つ。

Sal Fasano / サル・フォサーノ 捕手 35歳 右投右打
78試合 打率.217 5HR 15打点 12得点 7四球 0盗塁 出塁率.267
個人的にその存在自体が謎な選手。捕手としては平均以下で打者としては明らかに最低レベル。選手としての強調材料はなく特徴と言えばお喋りと口ひげぐらい。あまりに喋るのでチームメイトが迷惑がっているようにも見える。

Andy Phillips / アンディー・フィリップス 一塁手 29歳 右投右打
110試合 打率.240 7HR 29打点 30得点 15四球 3盗塁 出塁率.281
体の回転に対してバットが遅れて出てくるのが特徴。アッパースイングなため高めの吊り球に引っかかりやすい。守備は上手い方で内野ならどこでも守れる。残念ながら才能に恵まれていないのでこれ以上の成長は望めない。

Miguel Cairo / ミゲル・カイロ 二塁手 32歳 右投右打
81試合 打率.239 0HR 30打点 28得点 13四球 13盗塁 出塁率.280
ジーターほどではないがインサイドアウトスイングができる貴重な選手。巧打力が高いのでレギュラーとしてシーズンを送れればある程度の数字は残せるはず。フィリップス同様ユーティリティープレーヤーで過小評価されているのが残念。

Bernie Williams / バーニー・ウィリアムス 外野手 38歳 右投両打
131試合 打率.281 12HR 61打点 65得点 33四球 2盗塁 出塁率.332
数々のフランチャイズレコードに名を連ねるミスターヤンキー。アナウンスされるだけで歓声を受けるほどファンにとっては特別な存在。肩の衰えが目立つがバッティングだけならまだまだやれる力はある。ただ外野手なだけに引退が濃厚。

Melky Cabrera / メルキー・カブレラ 外野手 22歳 左投両打
130試合 打率.280 7HR 50打点 75得点 56四球 12盗塁 出塁率.360
バーニーと共に松井とシェフィールドの穴を立派に埋めた影のヒーロー。ルーキーにしてはボールを待つタイプで追い込まれてもきちんと四球を選べる。守備も上手くかなりの強肩と将来は明るい。珍しい左利きのスイッチヒッター。

Playoff Roaster 2006-1

Tuesday, October 03, 2006

Playoff Roaster 2006-1

Chien-Ming Wang / チンミン・ウォン 投手 26歳 右投右打
19勝6敗 防御率3.63 1S 奪三振76 投球回218 被安打233 与四死球54
150キロ前後のシンキングファーストボールと同じ軌道のシンカーが持ち味。打たせて獲るとよく言われるが実際はその球質から打てないが正しい。制球力が非常に高く最も安定している投手。ただしランナーを背負うと被安打率が上がる。

Mike Mussina / マイク・ムシーナ 投手 37歳 右投左打
15勝7敗 防御率3.51 奪三振172 投球回197.1 被安打184 与四死球40
抜群のコントロールで打者をあっという間に追い込むのが特徴。また2種類のストレートと数種類の変化球を自在に操り、投球の組み立てをその都度変えるクレーバーな投手。ストレートに威力がないのが難点。伝家の宝刀はナックルカーブ。

Randy Johnson / ランディ・ジョンソン 投手 43歳 左投右打
17勝11敗 防御率5.00 奪三振172 投球回205 被安打194 与四死球70
150キロ前後のストレートと140キロ弱のスライダーが主体。さすがに衰えは隠せないが先発3番手以降ならどのチームでも通用する力を持っている。基本的に荒れ球だが悪いときは逆に真ん中に集まってしまうため打たれやすい。

Jaret Wright / ジャレット・ライト 投手 31歳 右投右打
11勝7敗 防御率4.49 奪三振84 投球回140.1 被安打157 与四死球64
カウントを作るのが下手で常にボールが先行するためなかなか好投できない。キレのある150キロ前後のツーシームは威力十分だが高めに浮く分だけ割引。また投球数が多く6回が限界。スライダーは平凡だがチェンジアップはいい。

Cory Lidle / コーリー・ライドル 投手 34歳 右投右打
12勝10敗 防御率4.85 奪三振130 投球回170.2 被安打181 与四死球69
140キロ台前半のストレートと多彩な変化球が主体のいわゆる軟投派。ただストレートに威力がないため全てはコマンド次第で結果にムラがある。またテンポよく投げるのも特徴であまりサインに首を振らない。ツーシームのキレはいい。

Mariano Rivera / マリアーノ・リベラ 投手 36歳 右投右打
5勝5敗 防御率1.80 34S 奪三振55 投球回75 被安打61 与四死球16
150キロ前後のカッターとツーシームで打者をねじ伏せるヤンキースの守護神。コントロールは抜群で滅多に四球を出さないところもクローザー向き。生涯防御率2.29、通算413セーブと将来殿堂入りが確実な選手。

Kyle Farnsworth / カイル・ファーンズワース 投手 30歳 右投右打
3勝6敗 防御率4.36 6S 奪三振75 投球回66 被安打62 与四死球29
150キロ台後半のストレートとハードスライダーが武器のセットアッパー。基本的にはストレートで押す投球スタイルだが、勝負どころでスライダーを投げて打たれるケースが多い。制球力が低く球が高めに浮きやすいのも問題。

Scott Proctor / スコット・プロクター 投手 29歳 右投右打
6勝4敗 防御率3.52 1S 奪三振89 投球回102.1 被安打89 与四死球35
今季メジャー最多の83試合に登板しブルペンでは中継ぎエース的な存在。150キロ台半ばのストレートが最大の特徴でムラがあるがスライダーも悪くない。ただプレッシャーに弱く重要な場面では起用しにくい。別名7回の男。

Ron Villone / ロン・ビローン 投手 36歳 左投左打
3勝3敗 防御率5.04 奪三振72 投球回80.1 被安打75 与四死球55
カーブは悪くないがストレートは145キロ前後と平凡で、左投手ということ以外あまり強調材料がない。シーズン前半は防御率2点台と活躍したが終わってみれば5点オーバー。一にも二にも制球難が原因で左投手ではあるが起用法が難しい。

Mike Myers / マイク・マイヤーズ 投手 37歳 左投左打
1勝2敗 防御率3.23 奪三振22 投球回30.2 被安打29 与四死球13
サブマリン投法が特徴の左のスペシャリスト。ただ今季は右打者に対しての方が数字がいい。ストレートは130キロ前後、スライダーは120キロ弱と球速は中学生並み。本来はワンポイントなはずだが何でもやらされる。ブルペンの電話番。

Brian Bruney / ブライアン・ブルーニー 投手 24歳 右投右打
1勝1敗 防御率0.87 奪三振25 投球回20.2 被安打14 与四死球16
150キロ台半ばのストレートで三振の山を築く豪腕投手。マウンド度胸もあり成長次第では大化けする可能性もある。ただ現状では制球に問題があるので使い方を間違えると火に油を注ぐ結果になり兼ねない。チェンジアップに見どころがある。

Playoff Roaster 2006-2

Monday, October 02, 2006

October1,06 vs TOR L5-7

Yankees fall one rally short

二人の主役が消化試合をフィナーレに。
有終の美は飾れなかったがメジャー最高勝率でシーズン終了。

主力が続々とベンチに下がる中、ジーターとカノーは終盤までプレーを続けた。ツインズのマウアーと首位打者を争っていたためで両者とも1打席目はヒット。カノーは2打席連続ヒットで一時は次のような僅差になっていた。

マウアー.34556 ジーター.34516 カノー.34375

その後は両者ともノーヒット。ジーターは大歓声を受け9回途中でベンチに下がる。最後まで戦ったジーターを称えたと言うより今季の活躍に対しての声援だった。

5-7の9回裏2死ランナーなし、バーニーが代打で登場する。レギュラーシーズン最後の姿になる可能性もあり、ジーター同様の大歓声で迎えられた。そんなファンの気持ちが届いたのかバーニーは右中間に2ベースを放つ。ただの偶然かも知れないが、華があるというのはこういうことを指すのだろう。

この日は最終戦のため監督バーニーを筆頭にコーチ陣も選手とバトンタッチ。代打のコールを誰がしたのかも気になるが、ヤンキースはポサダも含めて5盗塁。もしこれが監督の意向ならバーニーは盗塁がお好きというところか。

さて、ALDSの対戦相手はデトロイトタイガースに決まった。あれだけ独走して失速、最終戦は6点差が守れず地区優勝を逃したチームだ。失速したのは戦力が低下したと見るのが妥当で勢いもない。ただよく言われているプレーオフの経験不足は根拠が認められないため強調材料にはなり得ない。

今のところ先発3番手以降は流動的だがカギはライドルとライト。この二人のうちどちらかがいいピッチングをすれば十分勝算はあると思う。ただし僅差のゲームが多い場合、指揮官がトーリなだけに簡単に負ける要素はある。こればっかりはそういう展開にならないことを願うしかない。

後半戦だけになってしまったが今季のMVPポイントは以下のようになった。感想としてはまず後半戦の躍進にウォンとジーターが不可欠だったことがあげられる。また特筆すべきはアブレイユとカノーで後半戦途中からにも関わらず僅差の上位。大事な時期に驚異的な貢献をしたことが分かる。カブレラもデーモンと同ポイントで松井とシェフィールドの穴をしっかり埋めてくれた。

投手陣に目を向けるとリベラのポイントがかなり低い。先発投手に比べて多少不利な査定という面はあるものの、セーブ数が示す通り僅差で勝利した試合自体が少なかったように思う。ムシーナは後半多少調子を落としたというのもあるが、打線の援護に恵まれずエラーにも泣かされため勝ち投手になれなかったのが大きい。

MVP Points Total/C Wang39 D Jeter38 B Abreu35 R Cano33
A Rodriguez30 J Damon28 M Cabrera28 J Giambi27 J Posada23
B Williams18 M Rivera17 R Johnson15 M Mussina14 J Wright13
S Proctor12 M Cairo12 C Lidle12 K Farnsworth11 D Rasner9A Guiel9
H Matsui7 B Bruney6 G Sheffield5 R Villone5 C Wilson5 N Green3
A Phillips3 J Karstens2 S Fasano2 M Myers2 J Veras1

Sunday, October 01, 2006

September30,06 vs TOR L5-6

Yankees fritter away lead

致命的な采配ミスで敗戦するも消化試合がスケープゴート。

こういう状況なので勝っても負けても大差はない。せいぜい関係してくるのはALCSでのホームフィールドアドバンテージぐらいだが、それもほぼ手中に収めている。ただしその負け方が采配ミスとなると話は別。プレーオフでも同じ人間が同じ思考で指揮を執る以上大いに問題なのである。

1. 先発カーステンズ右(7回)→1失点→4-2
2. マイヤーズ左(7回2死1.3塁、代打マクドナルド右)→ヒット→4-3
3. ビーム右(7回2死1.3塁、打者リオス右)→2ベース→4-5
4. ビローン左(7回2死3塁、打者カタラノット左)→セカンドゴロ
5. ベラス右(8回)→1失点→4-6(その裏ヤンキースは1点返して5-6)
6. リベラ右(9回)→無失点

この日のリベラは1イニングの調整登板が予定されていた。ただしあくまで調整が目的なため、どのイニングに登板しても問題はない。先日のオリオールズ戦で11点リードの7回に登板していることが何よりの証拠である。

ところが勝負どころの7回にリベラを温存、実際登板したのは勝ち越された後の9回。しかも1点差に迫られなおもピンチの場面で、何度となく酷評しているあのビームに継投するとは開いた口が塞がらない。リベラではなく8回から登板したベラスでもいいが、防御率8点オーバーの投手を登板させる理由だけはどこにもないのだ。

百歩譲ってリベラに失点を負わせたくないと言うのなら分からなくもない。ただトーリは普段から個人の記録のために試合は犠牲にしないと明言している。また試合自体が調整と言うのであれば、これほど細かな継投は極めて不自然。結局代打を送られたがマイヤーズの起用は左のアダムスを意識してのもので、おそらくビローンも同様の理由。つまり勝ちにこだわっていたのは明らかで、どうしようもないほどの愚かさである。

試合後のインタビューでこの愚かさを象徴するような発言があった。敗戦について聞かれたトーリが真っ先に言ったのは以下の言葉。

「We are sort of enjoying this」

まあよかったんじゃないのというような意味だろう。アメリカの社会ではミスを認めず謝らないことがある意味で美徳とされている。黙っていれば損、言い返せるのならその方が得というような理屈だ。

ところがBullshit Artist=言い訳の天才という面白い言葉もアメリカにはあり、度が過ぎれば逆にこう呼ばれてしまう。言い訳の天才どころか名将知将、その実績から殿堂入りすらあり得る。これこそがこの世の中の正体そのもの、虚構以外の何ものでもない。




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