Sunday, December 31, 2006

Nina Simone, How Long Must I Wander

2006年12月31日

大半の人が1年を振り返ったり、来年の抱負などを考える日である。そんなことを何となく想像していたら、ふとこの曲が浮かんできた。何年もの間、タイトルと同じ想いが頭の中を覆い尽くしているためだろう。


Here Comes The Sun (1971)

昨日を振り返り、明日のために今日を生きる。こんな基本的な生き方ができない。できないというよりそういう意識を持てないといった方が正しい。そんな意識で生きていると、この曲が心に響いてくるのである。

この曲は漠然とした何かを感じさせる。それは今を今と認識するのではなく、過去も未来も1つの集合というような非常に大きな何かだ。

そんな漠然とした巨大な塊こそこの世の全て。自己防衛本能かも知れないが、それを丸ごと受け入れることが生きるという意味だと今は思う。

このアルバムのタイトルはHere Comes The Sun。偶然にも今日という日に相応しい言葉だが、今の心境としては椎名林檎の歌詞を引用したい。

「太陽はまた明日を始めてしまう」

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Saturday, December 30, 2006

Hot Stove 2007-2

元「ドラ1」のヤンキース外野手、レッズと1年契約

この選手を考える時、どうしても巨人の元木を思い出してしまう。野球選手というのは競走馬と同じで試合に出ることでその能力が伸びていく。逆に素質があってもコンスタントに試合に出なければそれは開花しない。試合に出るには結果を残すことが必要条件になるが、実際はそれ以外の要素の方が大きい。

例えばカノーは今季.342の打率を残したが、メジャーに上がったきっかけは当時のセカンドウォーマックの(必然的)不調。またマイナーで首位打者だったカブレラも、松井とシェフィールドの怪我がなければどうなっていたか分からない。

クロスビーはドラフト1順目指名だったことから非凡な素質があったのは間違いない。単に早熟だったという見方もできるが、運に恵まれていなかったのも事実。ヤンキースにトレードされたことが全て、気付けば能力を伸ばせないままピークと言われる30歳を迎えてしまったのである。

新天地でも中途半端な起用だとは思うが、めげずに頑張って欲しい。自由契約選手について書くつもりはなかったが、思い入れがあったので特別にさかのぼって付け加えた。

ヤンキースのスターツ、ブレーブスへ移籍

それほど悪い投手ではないが、投球の組み立てが淡白なことと制球難がネック。プロクターに席を譲るまでは別名7回の男としてセットアッパーへの橋渡し役をしていた。

一本調子なトーリ采配の下ではこの役割は最も過酷で、それは今季のプロクターの登板数(メジャートップ)を見れば一目瞭然。肩を壊しておいてお払い箱といった形容もそう遠くはないはずで、言ってみれば犠牲者である。

ストレートには見どころがあるので、手術の影響さえなければある程度の働きは期待できる。クロスビー同様、頑張って欲しい。

Chavez signed to Minor League deal

ウインターミーティングで捕手のチャべスとマイナー契約。ニエベスと競わせてどちらかがポサダの控えになるようだが、このポジションが意外と重要なのである。

トーリはポサダに定期的に休養を与えるため、重要な場面で打席が回ってくることも少なくない。今季のフォサーノのように振り回すだけで鈍足なタイプはもっての外、少なくともバントぐらいできないと話にならない。捕手としてよほど能力が突出していれば別だが、そんな選手を他が放っておくわけがない。

また年齢を考えるとポサダが故障する可能性も否定できず、そういう意味でも控えの扱いで軽視していると後で慌てることになる。

チャべスは実際見たことがないのでスタッツからの判断になるが、お世辞にもいい選手とは言えない。以前にも書いたことがあるが、投手にも大きな影響を与える捕手を重視しないチーム作りには頭が痛い。

Yanks pluck Phelps in Rule 5 Draft

ルール5ドラフトフェルプスをオリオールズから獲得。来季はジアンビがDHに専念することからファーストは予てからの懸案だった。これもスタッツからの判断で申し訳ないが、まだ若く素質もありそうで率直に言っていい買い物。ただロイヤルズのミンケイビッチ獲得の動きがあり、このフェルプスはあくまで控えとして考えられているようだ。

個人的にはレッドソックスからFAになったロレッタをファースト、ユーティリティープレーヤーとしてカイロを残すのがベストだと思う。トーリがなぜか買っているフィリップスは不要。

Royals sign relievers Dotel, Bale

FAのドテルがロイヤルズに移籍。ロイヤルズはクローザーとして獲得、ヤンキースは中継ぎとしても不必要と資金力の差があるとは言え評価が真っ二つに分かれた格好だ。

投球を見る限り肘の影響はなさそうで、年々悪くなる防御率が示す通り能力の衰えと見るのが妥当かも知れない。年俸の500万ドルは資本主義がもたらす弱者特有の悪循環なのか、それとも大博打なのか。

ヤンキース、元キューバ代表と4年契約へ
Yankees sign Cuban prospect

キャッシュマンはプロスペクトとしてじっくり育てるつもりらしく、メジャー契約でありながら来季は1Aからのスタートになる見込み。ちょっと見たところではコンタクトヒッターのようだが、23歳と若いだけに数年後には主軸を打っている可能性はある。

もちろんキャッシュマンが有言実行すればの話で、待ちきれず中途半端なトレード要員にするのだけはやめて欲しい。

ヤクルトがギエルと契約へ ヤンキースの左打者

それにしてもヤクルトのスカウトは優秀。今回は別としても今まで何人のお買い得な外国人を連れてきたことだろう。個人的にもこの選手の評価はそれほど低くない。

いわゆる腕っ節で打球を運ぶタイプで振り回さないところがいい。ストレートに強いので変化球に対応できればある程度の数字は残せる。正確にはガエル(Guiel)と発音する。

Hot Stove 2007-1
Hot Stove 2007-3

Thursday, December 28, 2006

Jaw, Leg And Pillow+

餌に釣られて再びカジノ。

ホテルのチェックイン後、エレベーターに乗って部屋に向かう。タダなので特に何も望んでいなかったが、部屋に入るなり驚かざるを得なかった。とにかく広く、よく見るとジャグジーまである。そう、ここはセミスイートなのである。


そういえば部屋が21階と聞かされた時、何か少しだけ胸騒ぎがした記憶がある。もちろんセミスイートなど初めての経験、それがまさかタダとは釣られた甲斐があったというもの。すでに500ドル相当どころの騒ぎではなく、これだけで儲かった気分になってくる。こんな時はサービスとはこうあるべきなどと思ってしまうから、人間とは本当に始末が悪い。

気分も十分満喫したのでエレベーターでカジノへ。何度見てもこの眺めはいい。今回は最初から1ドルスロットで遊ぶことにしたが、ものの10分で100ドルが消えていった。

その数分後、ベルの音と共に見慣れない絵柄が揃う。絵柄は全て違う種類、ベルが鳴るのも高額な配当とは限らないので隣の若い2人組に聞いた。

「これってどういう意味?」
「勝ったんだよ!」

期待した答ではなかったが、雰囲気から普通ではないことだけは分かった。ジャックポットを出したのである。しばらくして係員が来たので配当を聞くと税金の対象となる額だった。指定の用紙(Form W-2G)にサインして配当金を受け取る。それから数時間遊び、少し減らして1日目終了。

さすがに翌日は絶不調で、前日の勝ちがなくなるのも時間の問題だった。こうなってくると完全に感覚がマヒし、夢遊病者のように座っては移るを繰り返す。全てが曖昧で特異な時間が流れる中、再びベルが鳴る。今度はジャックポットなのがすぐに分かった。連日のジャックポットは初めてではないが、どう考えてもツイている。

その日の夜はホテル内にあるレストランでクリスマスディナー。と言ってもポイントで払ったので持ち出しはゼロ。酔った勢いでルーレットでもやるつもりだったが、幸か不幸か持病のIBS(過敏性腸症候群)が発症してしまい仕方なくホテルへ戻ることに。

最終日は若干減らしたところで見切りをつけ、新しくできたショッピングセンターで買い物。特に欲しいものはなかったが、これもクーポンを利用できたので意地汚く行ってみたというのが正直なところ。

結局この2泊3日で持ち出しはバス代の14ドルとチップだけ。それどころかボーナスまでもらっているのだから言うことはない。やはりたまには呑まれてみるのも悪くないようだ。

今回ジャックポットを2回出したが、実は同時にあるカードももらっていた。それはジャックポットウィナーだけが参加できる抽選会の応募カードで総額は25000ドル。2枚あることから考えても確率はかなり高いはずで、すでに鼻息は荒い。今度こそ呑まれると思うが、性懲りもなく来月も行くことになりそうである。

関連記事:3X Sheraton-1

Wednesday, December 20, 2006

Elliott Smith, Bottle Up And Explode!

最も好きなアーティストであり、生涯忘れられない存在

エリオット・スミスとの出会いは今から10年程前、ニューヨークのとある場所で本人らしき人物から1枚のレコード(セカンドアルバム)をもらったのが始まり。事情があって詳しくは書けないが、実はその時の状況をあまりよく覚えていない。唯一言えるのは彼が少なからず自分に対して好意(性的な意味ではない)を持ってくれたということだけ。


XO (1998)

それから数年後、iTunesが登場したことがきかっけで初めてそのレコードを聴いた。と言うのもジャケットのデザインがB級バンドのようだったことと、当時はその存在すら知らなかったこともあって何年もの間未開封でレコードラックに眠っていたからだ。

最初はそれほど衝撃的な印象はなく、かなり才能のあるアーティストという程度だった。ところが繰り返して聴くうちにその魅力に引き込まれ、気づくとエリオット・スミスなしの音楽など考えられないほどにまでなっていた。

それからしばらくして彼は自殺。この時もそれほどショックは受けなかったのを覚えているが、これが後々自分にとって大きな影響を与えることになる。

人間は楽観的な幻想を前提に生きているもので、それゆえ崩れた時のショックは大きい。ことわざにもあるように、いつでも手が届くという状況は一過性のものなのである。

生前と同じように聴いているつもりでも、涙しか出てこない。エリオット・スミスに会いたくて仕方がないのだ。実際彼が訪ねてくる夢を見たこともある。

好意を持ってくれたことに対する意思表示がしたい。彼の音楽がいかに素晴らしいか、それによってどれだけのことを教わったかを本人に伝えたい。あの時のことをよく覚えていない自分、少なくとももっと早く聴くべきだった...

聴けば聴くほどそんな叶わぬ想いと後悔で頭が一杯になる。せめて墓参りでもと思って調べたが、本人の希望で遺灰は海にまかれてしまったようでそれすら叶わない。このアルバムにこんなタイトルの曲がある。

「Oh Well, Okay」

この言葉をせめてもの慰めにしながら聴き続けることしか今はできない。ただ映画のようにいつか会えると信じて、エリオット・スミスを一生かけて探すつもりだ。戯言のように聞こえるかも知れないが、本心なのだから仕方がない。

エリオット・スミスの魅力は何と言っても悲しみと強さ。一般的には前者ばかり語られることが多いが、だからこそ微かに見え隠れする力強さはその数十倍にもなって感じられる。

今回紹介するのはアコースティックギターとボーカル、ストリングスのハーモニーが絶妙で力強さが後頭部を掠めていくような曲。最も泣ける曲であり、最も拳を握る曲でもある。

追記:今気づいたのだがこのアルバムのリリースは98年、日本からこちらに住居を移したのも同じ98年だった。偶然にしてもやはり何かありそうで少し嬉しい。

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Monday, December 18, 2006

More Than Zero

写真は友人の誕生日プレゼントとして先日作ったもの。

分かる人には分かると思うが、これはFedex(フェデックス・エンベロープ)のパロディー。せっかく作ったのでブログに載せようと元の写真を探していたら面白いサイトを見つけた。


(C)Copyright Invisible KMFIS

Tyvek FedEx Wallet with Change Pocket

見ての通り、この封筒を使った財布の作り方が書いてある。コメントを読むと実際に作った人も多いようで、挙句の果てにはDHLの封筒でも作れるのかといった質問まである。

あまりのくだらなさが逆に興味をそそったのか、他のページを見てみるとこれがなかなかどうしてバカにできない。

レコードで作ったランプシェードや自作のプリントスクリーンダゲレオタイプ(銀板写真)の作り方など本格的なものまである。暇つぶし以上の価値はあると思うので、興味があれば覗いてみるといいだろう。

Saturday, December 16, 2006

D-Rave

メジャーリーガー松坂誕生! 「球場の美しさに感動」
Red Sox introduce Matsuzaka(WMP)

いつものようにコーヒーを飲みながらウェブサイトをチェックすると反応が悪い。それもそのはず、日本は今このニュースで持ちきりなわけでそれが関連サイトならなおさらのこと。日本に住んでいなくてもこんな形でその関心の高さが分かってしまうのだから面白い。

ただこれほどまでにアクセスが集中するのは、純粋な野球ファンや松坂ファンだけでは到底実現しない。つまりメディアという教祖に洗脳された日本人のレベルが露呈した格好で、今に始まったことではないが決して喜べないことでもある。

これだけで日本の状況を想像するのは容易いが、レッドソックスファンのaoiさんの記事(かなり面白い)によるとまさに猫も杓子もの状態でデタラメのオンパレードらしい。

松坂くん、レッドソックスの18番になる。

半分冗談にしても、大和魂という形容を公の電波を使って放送するのはどうかと思う。同じ理屈で言えば、アメリカ人が日本に来て英語で通そうとするのはヤンキー魂なのだから認めなければならない。実際多くの日本人がそうしているが、西洋人を外人さんなどと呼ぶのがいい例でそれはただの迎合に過ぎない。

aoiさんも書いているが、そもそも大和魂という意味が理解できない。何かのイベントでもない限り誇りや愛国心を擬似的にしか持てず、逆にベタな愛国心を否定する日本人に大和魂もクソもないのである。象徴としての天皇制がその背景にあるとしても、都合のいい時だけ日の丸を持ち出すのでは日本の将来も高が知れている。

能書きはこれぐらいにして本題に。本題と言っても興味があったのは松坂ではなくその契約内容。当初の松坂側の要求は3年契約の年俸1500万ドル、一方のレッドソックスは6年契約の年俸700万ドルと言われている。両者には大きな開きがあったが、最終的に6年5200万ドル(年俸にして867万ドル)で決着した。

数字だけで判断すればレッドソックスの圧勝、メディアや関連サイトの記事を総合してもほぼ同意見。吸血鬼とも称される代理人ボラスが悪玉扱いされているのも少なからず影響しているだろう。ただ個人的にはそうは思わない。仮にこれが勝負であれば引き分け、ボクシングの採点のようにどちらか決めろと言うなら勝者はボラスと答える。

ポスティングに5000万ドル以上もの大金を投じたレッドソックスとしては3年契約など呑めるはずもなく、松坂側が譲歩しなければ契約自体反故にしていた可能性が高い。なぜなら応札額はジャパンマネーを当て込んでのものであり、それがたった3年で回収できる試算が成り立つとは考えにくいからである。

つまり長期契約しなければ戦力とコスト面の両方においてレッドソックスにメリットはなく、絶対に譲れない条件になっていたわけだ。ただし応札額の5000万ドルがこの状況を生み出しているのも事実。自分で自分の首を絞めているのと同じで、次点と大きな開きがあったことから考えても自業自得な側面は否定できない。

対するボラスは上記の理由は百も承知、したがって当初のもくろみなどとっくに消え去っていたのは間違いない。それでも要求を変えなかったのは単純に少しでも好条件を引き出すためのブラフ、間違っても要求を呑むとは考えていなかったはずだ。

仮に要求通りになったとすると、3×1500万ドルの4500万ドルが報酬の対象額となる。ボラスが松坂とどんな契約を交わしているか分からないが、おそらく3年後の代理人の椅子は保障されていないだろう。

ましてやメジャーで投げたことがない松坂の3年後などどうなっているか分からない。故障して棒に振っている可能性すらある。それならば1000万ドルの上乗せに成功した目の前の5200万ドルを取った方がどう考えても得策。次期代理人の保証がない限り、来年のポスティングでも2年後のFAでも同じことが言える。

ただボラスにとってもレッドソックスの応札額は想定外で、これほどの高額にならなければさらに多くの血を吸える可能性はあった。

結局のところ両者にとってポスティングがネックとなりドロー、あえて勝者を探せば西武ということになる。その西武も一銭にもならない恐怖を味わったわけでその心中は敗者同然、真の勝者はメディアとタダで踊ったみなさんと言えそうだ。

追記:少し書き忘れたので補足。

今回の契約で松坂はルーキーの日本人選手としては過去最高の評価を得た。日本で最高の打者と評される松井の700万ドルと比較しても当初の1500万ドルという年俸は明らかに法外な要求。

野手と投手の違いやWBCなどを考慮したところで落としどころはせいぜい1000万ドル。この観点で考えても今回の結果は落ち着くべきところに落ち着いたと言える。

ボラスはそのダーティーなイメージからか何かと槍玉にあげられることが多く、果ては年俸高騰の戦犯にまでなっている。ボラスの名誉のために書いておくが、彼は職務をまっとうしているに過ぎず戦犯でも何でもない。

年俸高騰は資本主義社会においての副産物、それを防ぐためにはルールで縛る他ない。ただそうなると優勝持ち回りのようなシステムに成りかねず、肝心の企業努力も疎かになり見ていて面白くない。

日本人選手がメジャー移籍する際、同時に残留を約束されているケースがある。こういうぬるま湯のような体質が高騰の一因であり、日米問わず一にも二にも払うから上がるという図式が根本にある。代理人制度に問題がないとは言わないが、少なくとも高騰の要因にするのは大きな間違いである。

関連記事:Worth Or Worse , How To Spend Money, Seeing Nothing Is Believing

Wednesday, December 13, 2006

3X Sheraton-3

チェックアウトを済ませタクシーでバリーズへ。

逸る気持ちを抑えてまずはポイントの加算状況をチェックする。30ドルほど貯まっていたのでクーポンを発行しカフェで昼食、味わう間もなくカジノへ直行。この日は前日の敗因を考慮して1ドルスロットに照準を合わせることにした。

1ドルスロットの魅力は、それほど大きな絵柄が揃わなくても小銭が稼げること。ただ通常1回のプレーで3ドルが必要なため、悪いマシーンに当たるといとも簡単に100ドル札が飛んでいく。初心者や遊び程度のつもりなら手を出さない方が賢明かも知れない。

ジャックポットはなかったものの、前述の200ドル前後の当たりが何度も出たおかげで前日の負けを取り返すまで復活。この時点で一瞬止めることが頭をよぎるがよぎっただけ、気づけば前日の状態に戻っていた。こうなると歯止めが効かず、諦めの悪い性格も手伝ってさらに数時間。まさに相手の思うツボである。

案の定結果が思わしくないので、リセットも兼ねて夕食をとることにした。リセットが効いたのか夕食後はわりと調子がよく、気付くと夜の8時を回っていた。マンハッタン行きのバスは24時間あるが、あまり遅くなると気分的に帰るのが面倒になる。後ろ髪は引かれたが観念して帰ることにした。

収支はタイトルにあるようにホテル代が3倍になった程度。わざわざ安いホテルを探して結局3倍になったのは笑えるが、この程度なら負けたうちに入らずよく遊んだと言える。

帰りのバスでうとうとしていると何やら様子がおかしい。見るとバスが止まっている。どうやら渋滞しているようで、数キロ先まで真っ赤なテールランプが続いていた。ただよく見るとバスの前に車はなく、あるのは(高速)出口と表示された標識。つまり本線と出口の分岐のところで堂々と停車しているのである。

状況から考えて迂回するかどうか迷っているのは間違いない。ただこんな光景は日本ではまず見られないだろう。無礼講のマリファナしかり、さすが何でもありのアメリカ。もちろん程度問題だが、個人的にはこういうところが実に魅力的なのだ。

運転手が携帯電話で本社と連絡を取ってはいるが、なかなか結論が出ない。15分も経たないうちに乗客からは文句が出始め、運転手(D)もマイクを使ってそれに答える。内容が内容なだけに聞いているだけで面白い。

A 「止まっているだけじゃ意味がない」
D 「だから今それを調べているんだ」
B 「早くしろ」
D 「地図を取って来る」
C 「空気が悪いのでドアを数秒開けて」

結局迂回することになり、予定より1時間ほどオーバーしてマンハッタンに到着。不思議とほとんどの乗客が運転手にお礼を言ってバスを降りていく。

文句は言わないがお礼も言わない日本人、文句は言うがお礼も言うアメリカ人。どっちもどっちなら後者の方がずっと人間臭くていい。

社交辞令や習慣と片付ける人もいるだろうが、どちらがいいかはきちんと体験してから決めるべき。それでもむっつりスケベがお好みと言うなら、多少気持ち悪いが仕方がない。

帰宅した翌日、試しにクリスマス前の予約状況を調べてみた。実は以前書いたオファーは今年一杯有効だったので、懲りもせずまた行くことを考えているのである。今度は十分に空きがあり、しかも2泊できる。というわけで今月もカジノに行くことになった。

その数日後、最低25ドル保証で最高5万ドルが受け取れる趣旨のハガキが届いた。さらに46ドルのキャッシュと100ドル相当のポイントがボーナスで加算されたとのお知らせ。

宿泊費と合わせれば500ドルほどの価値はあるが、500ドルなどカジノではあっという間なのも事実。相手の術中にはまっている気もするが、酒と同じでたまには呑まれてみるのも悪くない。機会があればまた報告したいと思う。

3X Sheraton-1

Friday, December 08, 2006

Old Maid

Wミーティング沈黙のヤンキース、次の狙いは?

ウインターミーティングも終わり、先日触れた獲得候補8人のうち3人はすでに対象外。目玉のジートもレンジャースが有力との見方が強く、ヤンキースもそれほど積極的には見えない。単純に点と点を繋げればペティットの復帰は濃厚、現役続行を決めたのもヤンキース移籍が前提だったということになる。

一概には言えないが、スポーツ選手が引退を意識するのは思うようなプレーができないと感じた時だろう。それをそのままこのケースに当てはめて考えると、引退を考えたのは家族のためというより抱えている故障が原因と推測できる。したがって本人レベルで自信がない以上、好結果を期待すること自体に無理があるという構図が出来上がる。

ペティットの評価が高いのはその勝ち星(186勝)によるところが大きい。ただその8割以上はヤンキース在籍時に記録したもので、弱小チームなら120勝がいいところ。生涯防御率3.81はある程度評価できるが、率直に言ってネームバリューほどの価値はなく1500万ドルもの年俸を払うとしたら馬鹿げているとしか言いようがない。

ここ数年のヤンキースはFAで獲得した選手が故障で戦線離脱、いつの間にか不良債権に成り下がっているパターンが目立つ。身体検査が何の保障にもならないのはライトやパバーノの例で明らかであり、同じ轍を踏まないためにもペティットの獲得は見送るべき。

まだ移籍が決まったわけでもなく、キャッシュマンはジートの代理人とも接触しているようなので望みはある。またペティットが予想に反して活躍する可能性も否定できず、逆にジートが不本意な成績で終わることもあるだろう。ただ個人的にはこのペティットがババ抜きにおけるババに思えてならない。

家族のためとヤンキースを去り、今度は故障を抱えて高額オファーで出戻り。
こんな状況でババを引かされたのでは堪ったものではない。
とにもかくにもキャッシュマン次第、ただしババ抜きは相当下手である。

関連記事:Hot Stove 2007-3

追記:記事を書いてから1時間も経たないうちにペティットのヤンキース移籍が決まった。詳しくは後日触れるとして、所詮キャッシュマンはこの程度というのが感想。

Wednesday, December 06, 2006

3X Sheraton-2

2時間半ほどでクラリッジというカジノホテルに到着。

バスはそのほとんどがカジノホテル行きだが、時間帯によって行き先は違う。ただ着いたホテルが目的と違ってもタクシーやシャトルバスを利用すれば問題はない。あまりアテにはならないが、不安なら前もって調べてから乗るのがいいだろう。それとチケットのキャッシュバックは到着したホテルかその系列ホテルに限られているので注意が必要。


(C)Copyright Invisible KMFIS

タクシーで宿泊先のシェラトンに移動、夕食はルームサービスで簡単に済ませた。目指すはバリーズというカジノホテル。過去に何度かジャックポットを出したことがあるので、縁起を担いで最近はもっぱらここで遊ぶことにしている。

バリーズに着いたのは夜11時頃。休日前にもかかわらずかなり空いていた。この雨と風では当然と言えば当然、こんな日に来るのはよほどの物好きかサンクスギビングに無関係なアジア人ぐらいだ。自分がそのどちらにも当てはまっているから笑ってしまう。

5時間ほど遊んでみたが、天気同様結果も思わしくなかった。翌日のチェックアウトが昼だったこともあり、この日は諦めてホテルに帰ることにした。正面玄関からタクシーを拾う。

「Happy Thanksgiving」

運転手にこう言われたので条件反射のように返したが、同時にあることに気づいた。マリファナの臭いがするのである。よく見ると窓が不自然に開いている。当然外は寒く、この運転手が客を待っている間吸っていたのは間違いない。

バーやクラブ、道端で経験することはあってもタクシーでは初めて。無礼講には違いないが、アメリカとは本当に面白い国だ。多少心配だったが特に何事もなくシェラトンに到着。タクシーの窓に貼られたNo Smokingのステッカーが印象的だった。(続く

3X Sheraton-1

Monday, December 04, 2006

Mo's New York Grill

ヤンキースのリベラがレストランをオープン。
Rivera serves up steaks in the suburbs

先日YESの番組を観ていて知ったのだが、調べてみるとオープンからすでに3ヶ月以上経っていた。場所はニューヨーク近郊ウエストチェスターニューロシェル、マンハッタンからは車で40分ほどの距離にある。

ウエストチェスターは閑静な住宅街として知られていて、駐在員をはじめとした日本人も多いところ。また著名人が多く住んでいることでも有名で、日本で言えば田園調布や二子玉川がイメージとして近い。

マンハッタンにオープンしなかったのは疑問だったが、当時はシーズン中の住居がこのニューロシェルにあったようで一件落着。ちなみにニューロシェルにはルー・ゲーリックも住んでいたらしい。現在リベラは家族とともにホワイトプレインズに移り住んでいる。

高級レストランではあるが、庶民に手が出ないほど高くはない。オフシーズンはここにいることも多いそうなので、リベラファンにはお勧めだ。

Mo's New York Grill: Rivera Steak House Restaurant

Saturday, December 02, 2006

Half Double

ヤ軍30億円で井川落札「タテジマ好感」

首脳陣も明言しているように、オフの課題は投手力の強化で先発の補強が最優先事項。今のところ来季の先発が予定されているのはウォン、ムシーナ、ランディ・ジョンソン、パバーノの4人で、先発転向の可能性があるプロクターが加われば見かけ上枠は埋まる。

ただランディ・ジョンソンは手術後の経過次第、パバーノも体調的に万全とは言えずヤンキースとしてはもう1人確保しておきたいところ。現在までの獲得候補は以下の5人、去就が決まっていないクレメンスペティットは除外してある。(カッコ内は生涯成績)

バリー・ジート 左投左打 28歳
16勝10敗 防御率3.83(3.55) 三振率6.1(6.9) 被安打率.344(.311)

テッド・リリー 左投左打 30歳
15勝13敗 防御率4.31(4.60) 三振率7.9(7.7) 被安打率.333(.326)

ジェフ・スーパン 右投右打 31歳
12勝7敗 防御率4.12(4.60) 三振率4.9(5.1) 被安打率.343(.337)

ギル・メッシュ 右投右打 28歳
11勝8敗 防御率4.48(4.60) 三振率7.5(6.3) 被安打率.340(.339)

ビセンテ・パディーヤ 右投右打 29歳
15勝10敗 防御率4.50(4.06) 三振率7.0(6.3) 被安打率.338(.332)

見て分かる通りサイ・ヤングウイナーのジートが抜けた存在で、他の4人は言ってみればどんぐりの背比べ。このレベルなら若手のラズナーヘン辺りで十分事足りるため、獲得しても保険程度の補強にしかならない。

さて、本題の井川だが個人的には何年も前から注目していた投手。今回もご多分に漏れずその動向が気になっていた。残念ながら映像を見ることができないため数字からの判断になってしまうが、率直に言って通用すると思う。

井川 慶 左投左打 27歳
14勝9敗 防御率2.97(3.14) 三振率8.4(8.5) 被安打率.234

あくまで日本での成績なので単純比較はできないが、それを割り引いても先に挙げた4人よりレベルは上。球速も上位で、150キロ前後のストレートは変化球を生かす意味でも大きな武器になる。27歳と若く左投手、大きな怪我をしていないのも好材料だ。

ポスティングの応札時期が限定されている関係上、その評価が特別高くなかったとしても井川の獲得を優先せざるを得なかったという事情はある。ただ結果的に実力上位の先発投手を早い段階で獲得できたことはヤンキースにとって明らかにプラス。

キャッシュマンの発言によると井川は先発の一角として考えられているようで、契約が成立すれば来季の先発は一応のメドが立つことになる。残るはセットアッパーを中心とした中継ぎ陣の強化とファーストぐらいで、オフの補強は半分以上達成したと言っていい。

今後さらに先発投手と接触するようなら、来季のヤンキースにはかなりの期待が持てる。もしかしたらキャッシュマン自身の進退がかかっているのかも知れない。

一応落札額に触れておくと、正直言ってどう評価したらいいか分からない。松坂の60億と比較すればその実力に30億の差はないと思うので、相対的に得した気分にはなる。ただなりぽんさんの言うところのML-B-ubbleは否定できず、こちらまでその感覚が麻痺しているのも事実。独占交渉権だけのための30億はやはり高いと言うべきだろう。

ヤンキースの落札についてはレッドソックスに対する意地という見方もあるようだが、松坂への応札額とさほど変わらないことからスライドさせただけとも考えられる。松坂と井川の評価にそれほど差がなかったとすれば、ステディなキャッシュマンを評価したい。

ここに来てポスティングシステムについての見直し論が多方面で聞かれるようになった。詳しくは機会があれば書こうと思うが、このシステムが誕生したのは実に8年前。見直し論自体は数年前からあったにしても、今回のように何か事が起きないと表面化しないのには呆れてしまう。

さらに呆れたのは日本プロ野球選手会が主張するポスティングの問題点。プロ野球界の存続に関わる問題に対して、一本調子な利己思想を貫くとは常軌を逸している。労組の性質上そんなものかも知れないが、どこかの政党のような必要悪と勘違いしてはいないか。呆れついでに面白い記事を見つけたので紹介しておく。

日本式ポスティングシステムへの疑問

フロントと選手の双方が不満という点で見直しが必要と結んでいるが、お互いのベクトルは正反対。つまりどちらかがより満足すれば、どちらかはさらに不満になるわけで見直しどころの騒ぎではない。60億も井川も吹き飛んでしまった。

ジェイソン・シュミット 右投右打 33歳
11勝9敗 防御率3.59(3.91) 三振率7.6(8.0) 被安打率.310(.317)

関連記事:Hot Stove 2007-3

追記:獲得候補で重要な選手を1人忘れていた。素質は抜群だが故障がちなのが難点。現在のところ獲得の可能性は低い。




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