Elliott Smith, Bottle Up And Explode!
最も好きなアーティストであり、生涯忘れられない存在
エリオット・スミスとの出会いは今から10年程前、ニューヨークのとある場所で本人らしき人物から1枚のレコード(セカンドアルバム)をもらったのが始まり。事情があって詳しくは書けないが、実はその時の状況をあまりよく覚えていない。唯一言えるのは彼が少なからず自分に対して好意(性的な意味ではない)を持ってくれたということだけ。
XO (1998)
それから数年後、iTunesが登場したことがきかっけで初めてそのレコードを聴いた。と言うのもジャケットのデザインがB級バンドのようだったことと、当時はその存在すら知らなかったこともあって何年もの間未開封でレコードラックに眠っていたからだ。
最初はそれほど衝撃的な印象はなく、かなり才能のあるアーティストという程度だった。ところが繰り返して聴くうちにその魅力に引き込まれ、気づくとエリオット・スミスなしの音楽など考えられないほどにまでなっていた。
それからしばらくして彼は自殺。この時もそれほどショックは受けなかったのを覚えているが、これが後々自分にとって大きな影響を与えることになる。
人間は楽観的な幻想を前提に生きているもので、それゆえ崩れた時のショックは大きい。ことわざにもあるように、いつでも手が届くという状況は一過性のものなのである。
生前と同じように聴いているつもりでも、涙しか出てこない。エリオット・スミスに会いたくて仕方がないのだ。実際彼が訪ねてくる夢を見たこともある。
好意を持ってくれたことに対する意思表示がしたい。彼の音楽がいかに素晴らしいか、それによってどれだけのことを教わったかを本人に伝えたい。あの時のことをよく覚えていない自分、少なくとももっと早く聴くべきだった...
聴けば聴くほどそんな叶わぬ想いと後悔で頭が一杯になる。せめて墓参りでもと思って調べたが、本人の希望で遺灰は海にまかれてしまったようでそれすら叶わない。このアルバムにこんなタイトルの曲がある。
「Oh Well, Okay」
この言葉をせめてもの慰めにしながら聴き続けることしか今はできない。ただ映画のようにいつか会えると信じて、エリオット・スミスを一生かけて探すつもりだ。戯言のように聞こえるかも知れないが、本心なのだから仕方がない。
エリオット・スミスの魅力は何と言っても悲しみと強さ。一般的には前者ばかり語られることが多いが、だからこそ微かに見え隠れする力強さはその数十倍にもなって感じられる。
今回紹介するのはアコースティックギターとボーカル、ストリングスのハーモニーが絶妙で力強さが後頭部を掠めていくような曲。最も泣ける曲であり、最も拳を握る曲でもある。
追記:今気づいたのだがこのアルバムのリリースは98年、日本からこちらに住居を移したのも同じ98年だった。偶然にしてもやはり何かありそうで少し嬉しい。
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