Wednesday, April 22, 2009

Amish Country

誇るべきものを持たない、誇らしき人たち

ダーウィンの進化論が事実なら、太古の人はただ生きるために生きた。妬みや虚栄心は潜在的に存在していたにしても、現代人のような野心は持ちようがない。その一方で狼に育てられた子供が人間と程遠い姿になるのはよく聞く話。つまり個体としては変わっていないのに、それを包み込む容器(環境)が中身まで変えてしまったことになる。


(C)Copyright Invisible KMFIS

先日ランカスターという街に行ってきたのだが、実はここにそんな容器と逆行して生きる人たちがいる。彼らの名はアーミッシュ。アメリカやカナダにコミュニティーを持ち、電気すら使わず自給自足の生活を送っている。映画(*1)でも取り上げられているので、知っている人も多いかと思う。(*1)刑事ジョン・ブックヴィレッジなど

マンハッタン, ニューヨーク, アメリカ合衆国 から Lancaster, PA, アメリカ合衆国 - Google マップ

広大な土地に点在する家屋。それぞれに立派なサイロがあり、起伏のある細い道を馬車(Buggy)が行き交う。規則正しく並んだ電柱はどこか頼りない。一見するとどこにでもある風景だが、日常生活では得られない独特の浮遊感があった。

「彼らは従順、謙虚、質素という徳を重んじますが、それはクリスチャンはキリストの人格の模範にならうべきという思想を持っているからです。穏やかで控えめな人柄がよいとされ、忍耐、待つこと、他人に折れて従うことが成熟した人格のしるしです」

「現代人が個人の権利を求め、競争に勝つこと、自己の望みを果たすこと、すなわち個を見出すことに熱心なのに対し、アーミッシュは自己を棄て去り共同体のために生きようとします」

彼らがこんな生活をするのは、はるか昔に確立された人としてのありかたが根底にある。現代にマッチするかは別としても、これに嫌悪感を抱く人は少ないはず。本来そうあるべきとは言わないが、立派な思想なのは間違いない。

「ただしこれらの宗教上の制限は、成人になるまでは猶予される。成人になる際、アーミッシュであり続けることを拒否することもできるが、ほとんどのアーミッシュの新成人はそのままアーミッシュであり続けることを選択するといわれる」

「このような厳しいきまりにも関わらず、アーミッシュの共同体は栄えています。彼らは積極的に外部の人に伝道したり改宗させたりはしませんが、(中略)80%が同じ共同体にとどまるといいます」

さらに重要なのは、それが強制されたものではないこと。多少の誇張や必然性の問題は残るが、実践している人が少なからずいるのは事実。アーミッシュに惹かれた理由もまさにここで、外界を知ってのこと(*2)だけに興味深い。(*2)新聞などの印刷物を読むことは許されている

人間にとって生きる意味は永遠の命題。答を求めること自体不毛ともいえるが、個々に限ればそのほとんどは快楽主義の延長線上にある。殺すより殺されることを選び、自己犠牲とは別の領域に位置する和の精神。いつか自分もそんな風になれるだろうか。帰り際に見えた窓辺のキャンドルが忘れられない。

Amish Country - a set on Flickr
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Playlist Updated:
SundaysのWild HorsesとIndia.ArieのGhetto. どちらも今の心境に相応しい。

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関連記事:The Human Express

参考サイト:
アーミッシュ - Pumpkin of Ivied Gables
アーミッシュ - Wikipedia

Lancaster, PA Welcome Center
The Amish Village

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