Thursday, March 27, 2008

Joba Role

チェンバーレインの行方
Joba Chamberlain will start season in bullpen for Yankees

記事中にある投票によれば、約8割の人がブルペンでの起用を支持している。まさに世の中の保守思想を反映したような格好だが、去年の成績を考えれば無理もない。セットアッパーとして機能するのは実証済みなのだから、わざわざ動かしてまでリスクを負う意味がないという理屈だろう。以下は監督のシラルディのコメント。


(C)Copyright Poughkeepsie Pinstripes On Flickr

「It's a combination of innings, success and where we feel he fits best now. I'm not saying this year, but I would say in the future.I don't want to be locked into a timetable. Promises depend on performance, but in the future, we consider him a starter.」

「現状では後半に繋ぐ橋渡し役がベスト。(先発の可能性は)近いうちとしか言えないが、予定を立ててそれに固執するようなことはしたくない。全ては今後の活躍次第だが、将来的には先発投手として考えている。」

チェンバーレインはこのオフ、先発投手としてトレーニングを積んできた。したがって今になって軌道修正するのは、どう見ても得策ではない。つまりこの措置は経験を積ませるためではなく、単にチーム事情を考慮してのもの。平たく言えば、ブルペンに置いた方が勝てると思っているわけだ。実際こちらの記事では、それをはっきりと明言している。

Yankees opt to have Joba come out of bullpen for now

「I had an idea if everybody stayed healthy this would happen, It's best for the team right now. It's about winning games. It's not about Joba Chamberlain.」

「故障者でも出ない限り、これがチームのためだと思っていた。あくまで勝つための措置であって、本人とは直接関係ない。」

仮に監督を任されたとして、下記の投手を自由に使えるとする。試合は一発勝負。後にも先にも試合がないとしたら、どんな起用をするだろうか。自分なら何の迷いもなく先発はリベラ。必要なら能力が高い順にチェンバーレイン、ウォンと継投する。間違っても先発と抑えを分けるようなことはしない。

ウォン ペティット ムシーナ ホーキンス ファンズワース チェンバーレイン リベラ

野球が点取りゲームである以上、投手は能力順に起用するのがセオリー。これについては何度も書いているので省略するが、たとえそれが162試合の長丁場であっても根幹が崩れることはない。

関連記事:May17,07 @ CWS L1-4

こちらでは先発投手が好投すると、Dominate(支配)という言葉がよく使われる。これは実に的を射た表現で、実際先発の出来次第でおおよその形勢は決まってしまう。チーム成績と得失点差が相関することから考えても、より多くのイニング数を投げる先発投手がシーズンのカギを握っていると言っても過言ではない。

一方抑えの役割は文字通り逃げ切ることにあるが、効果を発揮するのは特定の状況下に限定される。セーブシチュエーション自体が年間で50前後だから、抑えのお陰で勝てるのはあっても6試合に1度ぐらいだろう。

パペルボン   5勝5敗 防御率1.35 72S(成功率89%)
ボロウスキー 7勝8敗 防御率4.39 81S(成功率84%)

これは去年リーグトップの45セーブをあげたボロウスキーと、最優秀救援投手に選ばれたパペルボンとの比較。成績は過去2年、カッコ内はセーブ成功率を示している。見ての通り防御率は段違いだが、セーブ成功率に大きな差はない。

ボロウスキーに僅差での登板が少ないとはいえ、パペルボンがいつも1点差の登板というわけでもない。つまり終盤までリードしたチームは単純に勝率が高いだけであって、よほど酷い投手でない限り大勢に影響がないことを意味する。

関連サイト:Yahoo! Answers - So how do you think Joe Borowski will do this year as Indians closer?

もちろんボロウスキーがセーブ数を稼げるのは、その前に投げる強力な2人(*1)がいるからこそ。その点では、チェンバーレインのセットアッパーはそれなりに意味がある。ただここで強調したいのは、逃げ切るために必ずしも好投手は必要ないということ。(*1)ペレズベタンコート

2点ビハインドの6回辺りに起用するなら話は別だが、そうでない限りはより多くのイニングを投げさせた方が効率がいい。インディアンズには先発にも強力な2人の投手(*2)がいるので、ヤンキースとは根本的に事情も違う。多少話は先後するが、参考までに付け加えておく。(*2)サバシアカルモーナ

残るは先発として結果を出せるかどうか。仮にここまでは納得できたとしても、当然そんな疑問は残る。メジャーでこそ経験はないが、本来は先発投手。本音を言えば経験など問題ではなく、90マイル半ばのストレートを常時投げられるというだけで通用するはず。

速いだけならオリオールズのカブレラのような例もあるが、これは過度の制球難によるものでチェンバーレインには当てはまらない。反則同然のスライダーを加味すれば、少なくとも4点前後の防御率は期待できる。エースのウォンが3.7だから、個人的には2番手でも十分務まると思う。

実際はセットアッパーとしての起用が濃厚だが、ジラルディはこれを否定。あえて試合の後半に投げる(back-end guy)とだけ答えている。臨機応変といえば聞こえはいいが、何かにつけてこの姿勢なのはいただけない。結果で判断したいのか、予め逃げ道を作っておきたいのか。早ければ来週にでも、その答えは分かるだろう。

関連記事:
Spring Game @ CLE L5-7
The Second Move-1
June3,08 vs TOR L3-9

関連サイト:ジョバ・チェンバレン - Wikipedia

2 comments:

Anonymous said...

パペルボンの成功があるからチェンバレンを同じようなものにしたいんじゃないでしょうか?
でも確かにクローザーはボロウスキーでもできるんですよね~~^^;
今日の試合でリベラ、ファンズワース、ブルーニー、チェンバレンて出てますけどここまで細切れに使ってもだぶついててもったいないような。

KMFIS said...

より確実な方を取ったのだと思いますが、
プロがファンと同じ見方というのは問題です。
首脳陣という日本語が滑稽に聞こえます。

>だぶついててもったいない

先発が不安なので悪いことではないですが、
それ以前に重視すべきところが間違ってます。
ファンでいることが恥ずかしくなりますね。




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