Thursday, August 12, 2010

My Green Card Story-5

グリーンカード取得まで(5)

健康診断を受けたのは2年前。病院は移民局指定のリストから選んだ。担当した医者は高齢のせいか注射もおぼつかない様子だったが、検査結果に問題はなかったはず。再検査とはいっても、大きな障害にはならないだろう。移民局を出た時点ではそう思っていた。

詳しく話を聞いてみると、ツベルクリン検査後(陽性反応)の対処が問題とのこと。本来ならレントゲン撮影をした上で、結核菌を根絶するための投薬を半年間続ける必要があったらしい。

レントゲンを撮った覚えはあるが、薬の話は初耳。再検査で済むどころか、少なくとも半年かかる。書類提出の期限は面接を受けた日から120日以内だから、今からその治療を受けたのでは間に合わない。苦労してパスした面接が無効になろうとしているわけだ。

自宅に一番近い病院を選んだだけなのに、どうしてこうなるのか。面接日の間違いしかり、こんな時は自分の運命を呪いたくなる。処置を怠った医者にも腹が立ったが、とにかくこの窮地を凌がなければならない。面接を受けたその足で、検査を受けた病院に向かった。(続く)

My Green Card Story-1

Friday, August 06, 2010

My Green Card Story-4

グリーンカード取得まで(4)

難しい質問はあれが最後。惨めな時間は過ぎ去り、今度は妻が質問を受ける。その頃には少し余裕が出たのか、背筋を伸ばし愚鈍な正直者を演じていた。(実際は演じるまでもなく愚鈍そのものだったと思う)

妻への質問が終わると、面接官はファイルを整理し始めた。膨大な資料にパンチで穴を開けてまとめる作業。アメリカに住むなら英語ぐらい覚えて来いとでも言うように、大きな手を顔の高さから一気に振り下ろす。

屈辱的な気分だったが、ファイル整理をしていることからして面接は終わり。もうすぐここから抜け出せる。そう思っていると、彼女は目も合わせず再び質問をしてきた。やはり甘くはない。ようやく面接が終わった。

部屋の外では面接官と弁護士が話をしている。その表情から悪い結果でないことは分かるが、あれだけの失態を演じた後だけに喜べない。半信半疑のまま部屋を出て、妻と共に弁護士の説明を聞く。

面接の結果は問題なし。ただし健康診断書に不備があるので、再検査が必要。あとは犯罪歴がなければグリーンカードがもらえるとのこと。外に出た。朝よりはマシだが、まだ寒い。半ば興奮気味に話しながら、コーヒーが飲める場所へと急いだ。(続く

My Green Card Story-1

Tuesday, July 27, 2010

My Green Card Story-3

グリーンカード取得まで(3)

隣には妻、後ろに弁護士が座っている。まずは妻に質問。普段聞き慣れないアクセントのせいか、言っていることの半分ぐらいしか分からない。弁護士には適当な返事は命取りになると釘を刺されていたが、こんな調子では先が思いやられる。いよいよ自分の番だ。

住所や職業などの簡単な質問が終わり、次は事前にカンニングした例の質問。ひっかけがないことを祈りつつ、意識を集中する。案の定聞き取れない。文章自体も弁護士の言うような簡単な言葉ではなく、難しいままだった。

前半は辛うじて乗り切ったが、次の質問で躓いた。何度聞き返しても、まったく理解できないのだ。職員室で怒られている時のように、頭の中は真っ白。嫌な空気が漂っている。ここから抜け出すきっかけが欲しい。そう思っていた矢先、ついに彼女はキレた。

「はっきりと正確な英語で話しているのに、なぜ何度も聞き返すのか!」

皮肉なもので、こういう時はよく聞こえる。(通訳を付けるべきだったという指摘に)後の席の弁護士は平謝り、妻は下を向いている。確かに通訳を付ければこんな問題は起きなかった。結局彼女はその質問を諦めたが、面接はまだ続く。

今度も前回と同様の質問。やはり何を言っているのか分からない。しばらく沈黙が続いた。おそらくこれが答えられないと不合格だろう。面接時は面接官の顔を見るように。決して妻と相談してはいけない。弁護士にはそう忠告されていたが、すでに従う余裕はない。

横目で隣に座る妻を見ると、かすかに首を振りながら目でNOと訴えている。だが確信はない。いや、そう訴えている確信はあるのだがNOと答える決心がつかない。ここまで来ると完全に丁半バクチの世界。NO.....何事もなかったように時が過ぎていった。(続く

My Green Card Story-1




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