Saturday, March 01, 2008

Hot Stove 2008-2

ストーブリーグ2008: Aロッドのドタバタ劇

ロドリゲス、ヤンキースと10年契約でサイン スポーツ Reuters
Yankees sign 3B Alex Rodriguez to a 10-year contract

一連の騒動は出戻りという形で終結したが、これには現在でも様々な憶測が飛び交っている。最も一般的なのはAロッド側が譲歩、代理人のボラス抜きで交渉したことが再契約に繋がったというもの。個人的な考えは後述するとして、まずはそれまでの経緯を振り返ってみる。

当初Aロッド側は、再契約の条件として3億5000万ドルを要求。ヤンキース側の提示額(*1)2億3100万ドルとは大幅な開きがあったため、交渉する間もなくFAに。この時点でヤンキースは事実上の撤退宣言。実際オーナーのスタインブレナーは次のようにコメントしている。(*1)レンジャーズから引き継いだ3年8100万ドル+5年1億5000万ドル

「再契約はノーチャンス、ヤンキースの一員でいたくない人間は必要ない。」

これを受けて、メディアは一斉に退団が決定的と報道。獲得できるチームは限られているものの、争奪戦が始まったかに見えた。ところがそれから1ヶ月も経たないうちに、Aロッドが自身のホームページでヤンキースと交渉を進めていることを明かす。

両者の間を取り持ったのは、共通の友人であるゴールドマンサックス社の幹部。代理人のボラスは同席していなかったと言われている。一方のスタインブレナーも前言撤回、一転して相思相愛の関係が出来上がる。

「ヤンキースでプレーしたいという彼の誠意を感じた。」

結局ヤンキースは10年2億7500万ドル(約300億円)で契約。インセンティブ(*2)を含めると総額は3億ドル以上で、史上稀にみる大型契約で幕を閉じた。(*2)歴代上位4人のHRに並ぶごとに600万ドル、新記録達成でさらに600万ドル

FA前の交渉でAロッド側が要求したのは3億5000万ドルだから、インセンティブを含めても5000万ドル減。単純に考えれば譲歩したと言えなくもない。ただしそれはヤンキース側も同じことで、結果的に当初の提示額(2億3100万ドル)を大幅に上回る契約を強いられている。

仮にAロッドが、インセンティブの条件を全て(*3)満たせば7000万ドル増。加えてレンジャースから支払われる年俸の一部(900万ドル×3)を含めれば、相対値で1億ドル近くにもなる。そういう意味では、譲歩したのはむしろヤンキースと言える。(*3)45本ペースなら、6年目の2013年にボンズの記録を抜く計算

代理人のボラスが窓口となって交渉決裂。最終的にはAロッド自身による決着だったことから、守銭奴たるボラスを無能とする見方もある。以下の記事がまさにそんな論調なのだが、個人的にはまったくの逆。多少強引なところはあるものの、彼は正真正銘のプロフェッショナルだと思う。

A・ロッドの造反でメジャーは変わるか - goo スポーツ:NumberWeb -

交渉に駆け引きはつきもの、提示額はその道具に過ぎない。当然落としどころは別にあるはずで、提示額でまとまらなかったから無能というのはあまりにも短絡的。松坂の時もそうだったが、実際ボラスは巧みな交渉術で金額を上乗せさせている。これについては以前書いた記事があるので、興味があれば読んでみて欲しい。

関連記事:D-Rave

そもそも今回の決着は、FAになったことが根底にある。そうでなければ10年契約など引き出せなかっただろうし、金額についても同じことが言える。金銭面でのこだわりは別としても、野球選手である以上できるだけ長くプレーしたい。決して若くはないAロッドにとって、長期契約は何にも代えがたいはず。ではそのFAを誘発させたのは誰か。そう、代理人のボラスその人なのである。

A-ロッド ヤンキース退団説 - goo スポーツ:NumberWeb -

実はこの騒動が始まった時、AロッドがFAになることは予想していた。というのも、事前にこの記事を読んでいたから。FAになるメリットが理路整然と書かれているのだが、実に説得力がある。同じNumberWebのコラムとはいえ、内容は雲泥の差。これが1年前に書かれたというのだから、さすがと言う他はない。

そのへんの三流ライターならともかく、超一流選手の代理人ともなればこの程度の分析は朝飯前。当然ボラスにも当てはまるわけで、これがFAを誘発させたと断言した理由でもある。未だに解雇されていないことから考えても、大きな不満がないのは確かだろう。ただ今回の件で評価を下げたのも事実。宿命と言ってしまえばそれまでだが、何だか不憫な気がする。

アレックス・ロドリゲス 三塁手 32歳 右投右打
158試合 .314(.306) 54本 156打点 143得点 24盗塁 出塁率.422(.389)
(成績は2007年度、カッコ内は生涯成績)

Aロッドにしてやられた格好のヤンキースだが、この選手はどんなことがあっても残留させるべきだったと思う。知っての通り、近年のヤンキースは不良債権に悩まされ続けている。一時の好成績や中途半端な実績で獲得するからだが、Aロッドはそのどちらでもない。

42歳までの契約なのでいずれはその時が来るとしても、当分は主軸として活躍してくれるはず。ワールドシリーズ制覇が至上命令なら、これ以上頼もしい選手はいない。他チームからすれば贅沢な話だが、残念ながらヤンキースとはそういうチームなのだ。

参考サイト:
スポーツナビ 野球 MLB A・ロッドとヤンキース、契約合意までの迷走劇
A・ロッド 球界最高額にボーナスも(野球) ― スポニチ Sponichi Annex 速報

Hot Stove 2008-1
Hot Stove 2008-3

2 comments:

Takeshi said...

ボラスは「野球ファンという面で見れば悪魔、されどプロとしての仕事はする」というのが僕の認識です。

いくら年俸が高騰しているとはいえ、そこから最上のものを引き出す彼の手腕は流石としか言えません。

金はある意味で人生の全てですからね。
ある程度無ければ話になりません。

どうでもいいですが、パチンコをしている知り合いに話を聞きました(僕は絶対やりません。カジノには行ってみたいけど)
あれは経済の縮図だと思いますね。

KMFIS said...

高額の契約を勝ち取れば、
その恩恵を受けるのは代理人よりも選手。
ボラスが悪玉として認知されているせいか、
こんな基本的なことが忘れられています。

他国を非難することで盛り上がる某サイト。
容疑者の段階でも敬称を忘れる芸能ニュース。
意識の低さは言うまでもないですが、
これではジャーナリズムもクソもありません。

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