Friday, June 08, 2007

June7,07 @ CWS W10-3

Yanks take third straight
Box Score (MAJOR.JP)

とにもかくにも3連勝。

投手を賞賛する時、こちらではSharpという言葉がよく使われる。ただ実際は自責点や失点を基準にしているに過ぎず、どんなに打たれようとその内容とは無関係な場合が多い。

このへんの事情は日本も同じで、好投の持つ意味が記事の意図によって操作されているのは珍しくない。プロは結果が全てと言われるが、それと誇張や拡大解釈はまったくの別問題。事実を正確に伝えなければ、受け手はいつまでだっても誤った認識のままである。

この日のムシーナは文字通りの好投、Sharpという形容が最も相応しい。初球を除けば甘いボールは記憶にないほどで、こんなピッチングは1年に1度あるかないかだろう。ノーヒッターを達成していてもおかしくなかったし、内容だけで言えばそれ以上だった。

今までも何度か書いているが、ムシーナという投手は球速がないわりにストレートの比率が高い。それだけにストレートの出来が結果に大きく影響する。今シーズンの投球を見る限りストレートは平均して80マイル半ば、去年と比べて3、4マイルは落ちている。これが結果を出せない理由であり、39歳という年齢から考えても上積みは期待できない。

関連記事:April6,07 vs BAL L4-6

こんなことは本人が一番よく分かっているわけで、クレバーなムシーナなら必ず何か考えているはず。そう思って観ていると、早速やってきた。ストレートが極端に少ないのである。正確には分からないが、おそらく3割なかったと思う。

ムシーナは元々パワーピッチャーだったと聞いている。球速の衰えとともに、今のスタイルを確立していったようだ。ペドロ・マルチネスもそうだが、肉体的な衰えを技術でカバーするのは簡単ではない。それでいて安定した成績を維持するのだから、たいしたものである。

さてそのムシーナだが、7回先頭のトーメにボテボテの内野安打で出塁される。さらに続くコネルコにレフトオーバーの2ベースを打たれ、無死1.3塁。参考までに打たれたのは真ん中高めのスライダー、この日唯一の失投だった。

投球数は79、スコアはヤンキースが1-0とリードしている。次打者が左のピルジンスキーだったので予想はしていたが、やはり左のマイヤーズに継投。通常ならともかく、ムシーナの出来からしてちょっと考えられない。

投球数が制限されていたのなら別だが、試合後のインタビューでトーリ自らこれを否定している。この時使っていたのが戦略という言葉。ムシーナの出来を度外視して、左対左を戦略というのもおかしな話である。

案の定そんな戦略は通用せず、あっさりタイムリーヒットを許し同点に追いつかれる。66歳の人に言うのも失礼かとは思うが、監督をやる前に算数でいいから勉強して欲しい。

実はここにムシーナのインタビューがあるのだが、なぜか肝心な最後の部分がカットされている。時間にして20秒足らず、内容から言っても意図的にカットされた可能性が高い。カットされたのは以下の部分。(K:インタビュアー、M:ムシーナ)

K: 79球で降板することは頭にありましたか?
M: (声を荒げて)頭にあったかって?
M: あるわけない、いつも100球投げるつもりでいる。
M: 降板はちょっと早かったと思う。
K: 続投したかったですか?
M: もちろんだ、だが私にはそれを決める権利がない。

元々ムシーナは優等生的な発言をするタイプではないが、同時に感情を表に出すタイプでもない。自身の成績やチーム状態も影響しているとはいえ、采配に納得がいかないという気持ちが背景にあるのは間違いない。不可解なジアンビの発言や処遇も含めて、このチームはすでにヤンキースではないのかも知れない。

先日トレード話が浮上したアブレイユだが、この日は攻守にわたって大活躍。スタメンを外れたダイとは好対照だった。これで6月の打率は.480、さすがのキャッシュマンも思いとどまるだろう。

不調時には守備面まで指摘されていたが、どうして世の中こうも単純なのか。アブレイユの捕球力が平均以上なのは疑いようもなく、実際それで救われたことも少なくない。

ちょっとエラーが続くと守備が下手、リベラが打たれれば限界説。正直言ってこういう論調には本当にうんざりしている。これが商売ならいいお客さんなのだが、できればこんなことは書きたくない。

関連記事:June5,07 @ CWS W7-3

同点の8回、四球でジーターが出塁。何の策もなく(初球にバント失敗)デーモンは三振するが、ワイルドピッチでランナーは2塁へ。カブレラの当たりは野手の間に転がったラッキーな内野安打。全てストレートを投げてくれたお陰でアブレイユに2ベース。1点リードの9回は四球連発後にAロッドのグランドスラム

勝つには勝ったが、ゲーム運びは相変わらずで単に恵まれていただけ。次は前回失礼にも弱っていると書いたパイレーツ。初戦は苦手の左投手で、スタッツを見る限り手強そうな相手だ。長打と連打期待の雑な攻めで、どこまで通用するか。

Video:
Matsui's RBI
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2 comments:

Anonymous said...

ムースは2000勝を祝うことは
できなかったでしょうね。。。

それにしてもどこも「情報操作」は
日常のことですね。

今年は2桁は無理ですかね。

「信頼」がない、とでもいうんですかね。。。

KMFIS said...

コメントありがとうございます。

このインタビューにもありますが、
かなり機械的にコメントしてますね。
本当の意味で祝福できたのはジーターとポサダ、
リベラの3人だけでしょう。

情報操作と結果論、レベルが低いです。

個人的には応援してるんですが、
球速が球速だけに何とも言えないところです。

あの采配なので、疑問を持つ選手がいて当然です。
こちらからでは見えない確執があるんでしょう。




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