Thursday, July 27, 2006

July26,06 @ TEX W8-7

Yankees sweep series

「この11年間で最も胃が痛いゲーム」

これは試合後のインタビューで監督のトーリが最初に言った言葉である。半分ジョークとは言えよっぽど堪えたのだろう。ただ見ている側から言わせてもらえば、それはこちらのセリフなのである。

長い間ヤンキース戦を見てきたがこれほど酷いゲーム、酷い采配はそうはない。先日のブルージェイズ戦でも書いたが今回はそれを数倍上回る。もはや采配と呼べるのかどうかも疑問なほどのレベルである。ヤンキースファンとしてはあるまじき態度ではあるがこのゲーム、正直言って負けて欲しかった。なぜなら勝てばこの最悪な采配は闇に葬られ、クローズアップされなくなってしまうからである。

余談になるが元マリナーズの佐々木主浩という投手がいた。新人王を受賞、日本では世界の佐々木などと言う形容で一喜一憂していたのは記憶に新しい。本当に彼はそんな形容がふさわしい選手なのだろうか?新人王受賞時の彼の成績は次の通り。2勝5敗37セーブ、防御率3.16、セーブ成功率.919

まず第一に抑えとしての防御率3.16は明らかに平均以下である。防御率3.16ということは1回平均0.35点失点する計算になる。つまり抑えとして仮に毎回1イニング登板したとすると、3回に1回以上は必ず失点するわけだ。さらにそれが全て1点差のゲームなら、3回に1回はセーブを失敗する投手と言うことができる。それでいて37セーブ、セーブ成功率が.919なのは言い換えれば2点差又は3点差の9回1イニングの登板が多かったことに他ならない。

従って37セーブ、セーブ成功率.919という数字など何の意味も持たないのである。ましてや世界の佐々木などという形容はデタラメと言えるし、そういう報道をしたメディアは極めて低レベルである。もし本心からそう思って記事にした記者がいたとすれば、余計なお世話だが転職した方がよろしい。

ちなみにメジャー通算(2000-2003)の成績は7勝16敗129セーブ防御率3.14。新人王受賞時の成績とほぼ同じなことから、抑えとしては(メジャーでは)並の選手という形容が正しい。そんな中身とは裏腹に新人王、37セーブ、セーブ成功率.919という数字はいつまでも生き続ける。残念ながら現代社会においての歴史、又は数字とはそういうものなのだ。

長くなったがトーリの場合もこれと同じようなことが言えるのではないだろうか。ヤンキースの監督になるまでは、監督としての評価は決して高くはなかった。むしろ監督生命すら終わりに近かったと言えるだろう。ところが運良くヤンキースの監督になると途端にヤンキースは抜群の成績を残し続けるようになる。メディアはこの2つの点と点を直接結びつけ絶賛、それ以前の評価はどこかへ消え去り名将と言われるまでになる。一旦そこまで登りつめてしまえば佐々木同様全ては風化してしまう。

確かにトーリには監督としての資質はあるように思う。ヤンキースというチームは決して諦めない姿勢、一丸となれる結束力がチームカラーでありそれが強さである。その強さの中心もしくはその強さを最大限に引き出せる人物、それがトーリなのだろう。決して選手の批判はぜず、勝敗に関わらずいつも同じ姿勢でインタビューに答えるその姿は監督に最も必要な条件の一つなのかも知れない。(他人の批判もしないが自己批判も決してしない、アメリカ人特有の国民性の一つと言ってしまえばそれまでだが)

ただその一方で野球というゲームに指揮官が存在する以上、その采配の持つ重要性も計り知れない。その点で言えばお世辞にも褒めることはできないのである。

さて、簡単に風化させないためにも微力ながら問題の采配を振り返っておきたい。2点を勝ち越した8回裏、レンジャース打線は1番からの好打順。先頭打者はスイッチヒッターのマシューズ(.323、10本、49打点)。この回の攻防がこのゲームの最大のポイントになるのは明らかである。本来ならセットアッパーのファーンズワースが登板する場面だが、直前に背中の張りを訴えたためベンチは新たな選択を余儀なくされる。一般的に考えて選択肢は3つあったと思う。

1. ビローンの続投 (5回途中からリリーフし1.2回を無安打)
2. プロクター (このところ好調で気になるのは使い詰めによる疲労だけ)
3. リベラ (ここで起用すると3連投、しかも2回を投げさせるのは故障が心配)

8回表に奇跡的な逆転をした直後でありこれを勝てば3連勝でホームに戻れる。しかも翌日は移動日で2週間ぶりのオフ、多少無理しても勝つべきゲームである。従って1.か2.を選択し、ピンチ(ランナーが出たら)になった時点でリベラ投入というプランが無難に見えた。しかし次の瞬間目を覆いたくなる(実際は大声を出していた)投手がマウンドに立っていた。なんと3Aから呼び戻したばかりのビームがマウンドに上がったのである。

試合数は少ないものの、今季のメジャーでの成績(8試合1勝0敗防御率10.13、投球回8被安打14)はとても通用するレベルとは言えない。またこの投手はストレートが主体(約7割)なのだが特にスピードがあるわけでもなく、さらに変化球の切れ、制球も共に悪い。プロクターを休ませたいのであればビローンの続投で問題ないわけで、不可解としか言えない起用法である。せいぜい考えられるのは相手打者(おそらく先頭のマシューズのみ)との相性を優先した結果、又はビームがマイナーで調子がよかった程度の理由しかないがいずれも正当化するには余りにも弱い。

案の定というか、予定調和であるかのようにビームは先頭のマシューズを歩かせる。続くキンスラーにも制球に苦しみど真ん中のストレートを狙い打たれる。これが2ベースとなり無死2.3塁のピンチを作って降板。無死2.3塁というのはノーヒットで同点(2得点)にできる状況。まったく最悪以外の言葉が見つからない。ここでビームと同じ予定調和の集合からプロクターが登場。実は先頭のマシューズに四球を与えた時点でプロクターは投球練習を始めていた。それならば何故最初から投げさせなかったのかという疑問が残る。

適当な投手を登板させておいて勝てるほど甘くはないことぐらい分かりそうなもの。次打者のヤング(得点圏打率リーグ1位)に初球をセンター前に運ばれあっさり同点とされる。さらにその後3連打され6-7と逆転を許し、なおも無死満塁となったところでプロクターに代わりチャコーンがマウンドへ。ここまで来ると見てる方もどうにでもなれという気持ちになる。

ところがそのチャコーン、次打者のデローサを三振。続くウィルカーソンはピッチャーライナーで飛び出した1塁ランナーもアウトになりこのピンチを無失点に抑える。続く9回抑えの大塚から先頭のジーターがヒットで出塁、続くジアンビに起死回生の2ランHRが飛び出しヤンキースは再逆転に成功する。得点経過だけを見れば面白いゲーム、強いヤンキースを象徴するゲームである。

だがこの瞬間驚いたことにベンチで両手を挙げて喜んだのはたったの2人、実に静かなものだった。シーソーゲームに決着を付ける劇的なHR、普通に考えてもボルテージが一気に高まる場面のはずである。 何故そうならなかったのか?そう、選手の大半が見てる者と同じ気持ちだったからである。少なくとも個人的にはそう考える。

あの場面でプロクターかビローン、もしくはリベラを投入して同じ結果であったならおそらくベンチは大騒ぎだったはず。選手自身がその勝利を喜べないゲームをファンが楽しめるわけがない。結果としては勝ったがファンが楽しめない野球などやる価値はないのだ。

先制の2点タイムリー(1回2死満塁)など3安打のフィリップス、2点タイムリー2ベース(8回無死1.2塁、3-4)など2安打のカブレラ、決勝の2ランHR(9回無死1塁、6-7)を打ったジアンビが高評価。他では1点差に詰め寄るソロHR(8回先頭打者、2-4)など2安打2得点のAロッド、9回先頭でヒットで出塁し同点のホームを踏むなど3安打2得点のジーター、ピンチ(8回無死満塁)に登板し無失点のシャコーンと9回を抑えたリベラが対象。

MVP Points Today/A Phillips2 M Cabrera2 J Giambi2
A Rodriguez1 D Jeter1 S Chacon1 M Rivera1

MVP Points Total/M Cairo10 M Cabrera9 D Jeter8 B Williams7
J Giambi7 A Guiel6 S Proctor6 C Wang5 M Rivera5 M Mussina4
A Rodriguez4 J Damon3 R Johnson3 A Phillips3 B Crosby2
K Farnsworth2 J Posada1 J Wright1 S Ponson1 R Villone1
K Wilson1 S Chacon1

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