July26,07 @ KC L0-7
Yankees cooled off
Box Score (MAJOR.JP)
シャットアウト負けで連勝は6でストップ。
ロイヤルズのヒットは10本、ただしシングルヒットはたったの2本だけ。長打の半分は2回に集中(4得点)と効率は抜群。一方のヤンキースは再三のチャンス(*1)に凡退、最後まであと1本が出なかった。(*1)無死2塁×2、無死1.2塁×1、1死1.2塁×2
(C)Copyright Wayne State University (original picture) / Modified By KMFIS
敗因ははっきりしているが、これを先発投手のスタッツで比較してみるとさらによく分かる。自責点を除けば、むしろ井川の方がいい。経験の差は否定しないが、それよりもヤンキース打線の間が悪すぎた。
井川 投球回5.2 被安打7 自責点5 四死球3 投球数102(ストライク66%)
デラローサ 投球回5.1 被安打6 自責点0 四死球3 投球数 96(ストライク58%)
生き残りを賭けての登板となった井川だが、またも結果を出せなかった。もっともここまで信用を失ってしまうとマイナー落ちは時間の問題、ノーヒッターを達成したところで状況は変わらなかったと思う。
井川の投球は全て見ているが、ボール自体は決して悪くない。それどころかメジャーで十分通用するとさえ思う。活字で判断している人のために客観的なデータを出すと、三振率は7.4/9回で先発陣の中で最も高い。
三振とは打者にとって完敗を意味する。手が出ないか擦りもしないのだから、こう言っても差し支えはない。並外れた球速があるなら別だが、そうでない以上打者を打ち取れる術だけは確実にある。
「負の連鎖」
先日の放送でマイケル・ケイにこんな形容をされていたが、メンタル面に原因があるのは間違いない。ヒット1本、四球を1つ与えただけで投球がガラっと変わってしまう。以下はそれを象徴するような、2回のオリオールズの攻撃。打たれたヒット4本のうち、3本は投手に有利なカウント。2死後の四球も失点に繋がっている。
1死後→2ベース(カウント2-1)→3ベース(カウント2-1)→1失点→2死後→
四球(カウント2-2から)→2ベース(初球)→2失点→3ベース(カウント2-0)→1失点
日本であれだけの成績を残しているのだから、環境の変化に対応できなかったと考えるのが妥当。マイペースなタイプと聞いていたので楽観視していたが、投手ということもあって言葉の壁も大きかったのかも知れない。昨日の時点ではもう一度チャンスを与えるとのことだったが、残念ながらこれを書いている最中にマイナー落ちが決まった。
関連記事:June22,07 @ SF W7-3
井川のことでつい長くなってしまったが、実はここからが本題。移籍後初めてマスクを被ったモリーナだが、早速持ち前の強肩を披露し攻守にわたって活躍。ニエベスに頼りなさを感じていた人も、好印象を持ったことだろう。
トレード成立直後のコメントで、トーリとキャッシュマンは揃ってアップグレードという言葉を使っていた。確かにアップグレードには違いないが、あくまで控え捕手のレベル。言ってみればマイナーアップグレードに過ぎない。
それよりも気になるのが、放出したジェフ・ケナードという投手。名前は知っていたが、テレビで観た記憶がない。調べてみると97マイルのストレートとシンカーが持ち味らしい。
参考:Who is Jeff Kennard? [Archive] - NYYFans.com
投手にとって球速は最大の武器。速いだけでは抑えられないが、失投がヒットに繋がりにくいのは大きなアドバンテージになる。また球速を左右するのは先天的な要素が強く、トレーニングやフォームを矯正してもそれほど効果がない。逆に制球力や変化球は、いくらでも改善の余地がある。
今季のオープン戦を観た限りでは、ルーキーにパワーピッチャーはいなかった。復帰間近のヒューズが少し速いというぐらいで、先発5番手レベルの投手(*2)はいずれも90マイル前後と物足りない。(*2)ライト、デサルボ、クリッパード、カーステンズ、ラズナーなど
この程度の球速で好成績を残すには、ムシーナのように多彩な変化球を持っているかマダックス級の制球力が必要になる。ただしこのレベルに到達できるのはほんの一握り。断言はしないが、ほとんどがマイナー暮らしで終わると思う。
メジャーで一流と言われる投手はパワーピッチャーが多い。97マイルというだけで活躍するとは言わないが、少なくとも前述の投手よりは可能性がある。獲得したエンジェルスは、笑いが止まらないはずだ。
選手を金で買うヤンキースに育成など必要ないかも知れないが、マイナーチェンジ程度ならいいトレードとは言えない。今に始まったことではないが、さすが我らがキャッシュマン。ちなみに記憶にある成功例は、プロクターとベンチュラのトレードだけだ。
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