Tuesday, May 22, 2007

May21,07 vs BOS W6-2

AL East deficit trimmed
Box Score (MAJOR.JP)

5月9日以来となる連勝。

ヤンキースの先発はウォン、一般的にはグラウンドボールピッチャーとして知られている。グラウンドボールピッチャーとはその名の通り、ゴロでアウトを奪う投手のこと。必然的に三振は少ない。実際メジャー3年間で奪った三振は141、9回に換算(以下三振率)すると3.4という数字になる。ところがこの日は6.1回を投げて三振は5、三振率は7.4で前述の倍以上だった。

グラウンドボールピッチャー=打たせてとる

ほとんどはこんな認識で正しいのだが、このウォンは言ってみれば例外。打たせてとるピッチングとは、緩急やコーナーに投げ分けることで打者のミスを誘うこと。あまりいい例が思いつかないが、グラビンモイヤーなどがこのタイプに属すると思う。またこのタイプの投手は、総じて球速がないのも特徴。

ウォンは90マイル半ばのシンカー(*1)が武器、本来ならパワーピッチャーのカテゴリーに入る。それでいて三振が少ないのは、その配球に理由がある。(*1)シンキングファーストボール、日本でいうシンカーを含めた総称

デビュー当初は、球速の異なる2種類のシンカーを投げ分けるだけだった。今でこそシンカー以外も投げるようになったが、それでもまだ2割程度。つまり打者としては、配球が予想しやす投手ということになる。

ところがあれだけキレのある高速シンカーは、分かっていても打てない。タイミングは合わせやすいので三振こそ少ないが、結果としてボールの上を打ってゴロになる。これが例外と書いた理由。打者のミスを誘うという点では同じだが、打とうにも打てないのだから根本的にはまったく違う。そういう意味ではリベラもこのタイプ。

グラウンドボールピッチャーにとっての伝家の宝刀、それは内野ゴロによる併殺。ただし投手にとって、三振に勝る武器はない。パスボールをしない限りエラーの可能性もなく、ランナーを進塁させることもないからだ。したがってウォンがワンランク上を目指すためには、三振率を上げる必要がある。それには配球を変えるのが最も手っ取り早い。

この日はまさにそれを実践したような投球。スライダーの比率がかなり高く、反対に遅いシンカーはほとんど見られなかった。スライダーの精度さえ上がれば、サイ・ヤングも決して夢ではない。アジア人としては20年に1度の逸材、それだけの可能性がウォンにはある。

シンカーに頼り続けた理由は、それで結果が出てしまっていたからだと思う。もっと早く試すべきかも知れないが、その分シンカーの精度が上がっていれば問題はないだろう。

ヤンキース、薬物問題で「発言」のジアンビとの契約解除か

なぜこの時期に、しかもわざわざ不利になることを言ったのか。良心の呵責に耐えかねてという理由なら説明がつくが、事はそれほど単純ではないはず。いずれにしても、フロントや首脳陣との確執があったのは間違いない。

さてそのジアンビだがこの日は異例の7番、見事HRを打ち勝利に貢献した。ジアンビと言えば三振か四球、HRの3つがお決まりのパターン。またチーム一の鈍足でもある。

長打力が高い→中軸
出塁率が高い→できるだけ前
打率が低い→下位
足が遅い→できるだけ後ろ

あっちを立てればこっちが立たず、こういう選手は本当に困る。これまでは中軸で使われてきたが、個人的には6番か7番辺りが適当だと思う。出塁率は打率ではなく四死球によるもの。またシフトとの兼ね合いもあって、シングルヒットも極端に少ない。

つまり得点圏にランナーがいても、HR以外ではあまり貢献できない選手ということになる。先日も書いたが、現在のヤンキースには出塁率の高い打者が多い。7番辺りに置いて長打期待、というのが一番効率がいい気がする。もっともトーリのことなので、何かあればすぐ戻してしまうだろう。

本当ならこれで終われるはずが、何もない日はないらしい。4点リードの7回2死2塁、ベンチはマイヤーズに代えてブルーニーをマウンドに送る。対するは強打者のマニー、危険な場面だったが見事三振で切り抜ける。翌8回もブルーニーは続投、ところがその後考えられないことが起こる。

三振→ファーストフライ→四球→ピッチャーゴロエラー→2死1.2塁→
ブルーニーに代えてプロクター→死球→2死満塁→セカンドゴロ(ヒット性)

ここまでノーヒットのブルーニーを代える理由が分からない。しかも前日2イニング(被安打3)投げているプロクター、神のお告げでもない限りこんな選択はまずできない。参考までにブルーニーの防御率は1.77、登板数の少ない選手を除けば最も低い数字である。

真面目に書くと、継投が好結果に繋がるという幻想がそうさせているのだと思う。悪い流れを変えるためと思う人もいるかも知れない。流れの存在は否定しないが、よくなる保証がどこにもないのも事実。平たく言えば、代えれば助かるとでも思っているのだろう。

カノーの好守備で救われたからいいようなものの、2失点していてもおかしくはなかった。さらに当たっているユーキリス、オティースと続く場面だけに抜けていればどうなっていたか分からない。もう腹も立たないが、カノーに足を向けて寝るのだけはやめて欲しい。

Video:
A-Rod's 18th homer
Cano's triple
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