Friday, May 18, 2007

May17,07 @ CWS L1-4

DeSalvo suffers first loss
Box Score (MAJOR.JP)

ゲーム差は今季最大の9.5。

このシリーズの敗戦は、いずれも勝てる要素がなかった。全くなかったと言えば嘘になるが、どう戦ってもそれほど結果に差はなかったと思う。ただしその戦い方は大いに疑問。

3点ビハインドの4回1死2.3塁、先発のデサルボを諦めビスカイーノをマウンドに送る。内野は前進守備、1点もやれない姿勢なのが分かる。そのビスカイーノは次打者ピルジンスキーに3球連続ボール、結局敬遠して満塁策。続くダイに外野フライを許し、簡単に4点目を失ってしまう。

野球が点取りゲームな以上、失点するほど勝率は下がっていく。3点差なら4点取れば勝てるが、4点差になると5点取らなければ勝てない。また前進守備とは2点を失うリスクを背負って、無失点で切り抜けることが目的。つまり4点差も5点差も同じ、3点差を維持できなければ勝機はないという意味に他ならない。これを踏まえて考えてみると、この状況は次のような図式で表せる。

1点もやれない状況→ブルペンで最悪な投手→失点率が最大→勝率は最小

これが接戦に弱い理由であり、打てなければ勝てない理由でもある。さらに付け加えると、点差が開けば開くほど得点効率の低い戦略を取らざるを得ない。2点差の無死1.2塁ならバントは出来ても、3点差ならヒッティング。結果として1点も取れずに惨敗するという悪循環になる。

ではなぜビスカイーノを起用したのか。最大の理由は、ビハインドで起用する投手を予め決めてしまっていることにある。今まで何度となく書いているが、投手は能力順に起用するのがセオリー。失点と勝率は反比例するのだから、このセオリーは崩れようがない。

ところが近代野球に抑えという概念が導入されたことで、その副産物として中継ぎという役割も同時に生まれた。抑えの役割というのは、後半のリードを維持し逃げ切ること。言い換えれば、元々高い勝率を100に収束させようという考え方である。

中継ぎ投手は試合の中盤で投げることが多く、例外を除けばその時点での勝率は高くも低くもない。つまり勝率が拮抗している状況での登板になるため、その出来が勝敗に大きく影響する。勝てそうな試合を確実に勝つのも大事だが、どちらにでも転ぶ試合を勝つ方が効率がいい。そういう意味でも、中継ぎ投手を抑えよりも重視するべきなのだ。

トーリに限らずほとんどの監督は、こんな野球を実践している。あえて同情的な見方をすれば、近代野球を信じた犠牲者と言えるかも知れない。ただここまで一本調子な監督もそうはいない。理屈を無視して型で勝てるほど、野球は甘くないのである。

言い忘れたが、トーリは第1戦でも同じような状況(*1)でビスカイーノを登板させている。(*1)2点ビハインドの6回1死1.3塁→外野フライで3点差

「1点を軽視して1点に泣く野球」

この言葉がトーリ采配の全てだと思う。投手起用において1点を軽視していることは前述の通りだが、実は攻撃面でも同じことが言える。第2戦(1点リードの7回)にこんな場面があった。

カブレラ四球→無死1塁→ミンケイビッチ送りバント→1死2塁→ポサダセンターフライ→
2死2塁→アブレイユライト前ヒット→3-1→2死1塁→ジーター3ベース(3球目)→4-1

問題なのはジーターの打席で、アブレイユに盗塁させなかったこと。2死1塁で得点するにはシングルヒットなら2本、もしくは長打が必要になる。たまたま長打が出たからいいようなものの、4点目を取りにいく貪欲さがまったくない。

アブレイユのヒットで浮かれていたのだろうが、2点差のリードなどあってないようなもの。経験から何も学べないとはまったくお粗末である。念のため書いておくが、これはスモールボールではなく確率の問題。単純計算(*2)すると以下のようになる。(*2)盗塁成功率.600、打率.300、出塁率.350

盗塁+シングルヒット:0.6×0.3=18%
出塁+シングルヒット:0.35×0.3=10.5%

見ての通り、得点する確率に2倍近くの格差があるのが分かる。参考までにアブレイユとジーター、ジアンビの生涯成績を使って算出してみる。

盗塁+シングルヒット:0.76×0.32=24%
出塁+シングルヒット:0.39×0.29=11%
2ベース以上:0.32×0.27=9%

結局のところ、2死1塁という状況は走った方が得なのである。もちろん大量点が欲しい場合は別だが、少なくとも1点が欲しい場面では有効な手段と言える。

実は第1戦と3戦(2戦は未確認)で、ホワイトソックスにはこの2死1塁が8回あった。そのうち盗塁させたのは7回、やはりギーエンは野球をよく知っている。打率がメジャーワーストでも、得失点差がマイナスでも貯金できるわけである。

残念ながら、我が指揮官とは根本的にポテンシャルが違い過ぎる。やはり羨ましいという言葉しか浮かんでこない。

最後に多少早いが優勝ラインを計算してみた。あくまで数字の上だが、思っていたよりチャンスはあるらしい。ただし全シリーズ勝ち越しが必要条件になる。

レッドソックス:3-2→ 101-61 4-3→ 98-64
ヤンキース  :2-1→ 100-62 3-2→ 92-70

Video:
Cano's quick flip
Mientkiewicz's RBI double
Post Game Plus

2 comments:

Anonymous said...

こちらにもおじゃまします。どうもトラックバックがうまくいかないので後ほどまたチャレンジしますね。

そうそう例のホワイトソックス批判の件も教えて頂いてありがとうございました。あれは…ちょっとヒドイですね(涙)。まぁ確かにだめな時もありますがコメントで総まとめにああいわれてしまうと…つらいかなー。

さて…
盗塁…確かにこのシリーズは頑張ってました…ホワイトソックス。あまりにもダメダメ打線だったときにギーエン監督がクラブハウスにrun the basesって書いたなんてこともあったんですが、確かに打線に不振があっても足にスランプはないですものね。打て出すとホワイトソックスの面々も忘れちゃうんですけどね〜(だめじゃん)。

それしても、計算式で見るとホントにすごい確率の差になるんですね。以前言われていた確率をより高くすること…ホントこういうもので見ると明確だなぁと思っちゃいました。

ビスカイーノ投手本当によく使われていますよね。でもビハインドもいろんなビハインドがあると思うのでおっしゃるとおりなのになぁと思います。トーリ監督は結構パターン通りという感じなんですね…。このあたりだけでも変わったらかなり変わりそうです。やっぱりもったいないです(>_<)。

KMFIS said...

コメントありがとうございます。

打力が高いので、それに溺れているんだと思います。
大逆転をすると、トーリは決まってこう言います。

「最後まで諦めないチームを誇りに思う」

確かにそれは事実なんですが、実際はその前に
序盤の失点を諦めた監督がいるわけです。

ビスカイーノがいまだにいるのが理解できません。
オープン戦で見せた変化球のキレがなく、
彼こそマイナーで調整すべきだと思います。

防御率6.85、被安打率.359、WHIP1.61
かなり謎ですね。




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