Friday, March 20, 2009

Bebe, Siempre Me Quedará

後ろ姿の物語

銀行に勤める40代の中間管理職。仕事はそれなりに熱心だが、人に任せることを知らない。何にでも口を出すため、部下にはどうしても煙たがられてしまう。容姿にも恵まれず、肉親と呼べる者は皆無。結婚はおろか、ガールフレンドさえいない。


Pafuera Telarañas (2005)

そんなある日、銀行が強盗に襲われる。客と共に人質になった彼は、ただ怯えるばかり。本来は勇気付ける立場にあるはずだが、自分が助かることしか考えられない。社内でのそれと同じように、ここでも孤立していく。

「君は友達だよ」

ところが犯人に襲い掛かったことがきっかけで、それまでの見方が一変。ついには人質の1人からこんな言葉をもらうまでになる。生まれて初めて味わう感覚。仲間として扱われたことが嬉しかった。

しばらくして事件は解決、人質は無事解放された。喜びを分かち合おうと、まるで戦友のように皆が集まってくる。もうひとりではない。これで過去の自分と決別できる。少なくともその時はそう思っていた。

沿道には安否を気遣う家族や友人たちの顔。彼を待っている者はいない。それぞれの元で抱き合って喜ぶ仲間を見つめながら、呆然とその場に立ち尽くす。やはり自分はひとりなのだろうか。

これはある映画の1シーン。ほんの少しでも変わったと感じるか、何も変わらないと感じるか。振り返ったところで描写は終わるが、彼の物語はこれからも延々と続くだろう。そんなことを思いながら、今この曲を聴いている。

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