Wednesday, September 13, 2006

September12,06 vs TB W12-4

Yanks blast way to win

スタジアム全体が相手投手陣をノックアウトしてしまったようなゲーム。

この日のヤンキースタジアムは松井の復帰を待ち望んでいたファンの熱気で包まれていた。それに後押しされたように先頭のデーモンがヒット、歓迎セレモニーの幕開けである。

ジーターが四球で続き、まずはアブレイユが祝砲となる特大の3ランHRを放つ。Aロッドは四球を選びすかさず盗塁、判定はセーフだったが実に微妙なタイミングだった。次打者ポサダの打球は左中間へ。それほど深い当たりではなかったが外野手の間に落ちたのが幸いして2ベース、さらに1点を追加して4-0。

続くカノーもヒットで続き、足の遅いポサダは案の定3塁ストップで1死1.3塁。予想通りというか、あたかも予定調和の如く絶好の場面で松井の登場となる。

世の中はその才能や努力とは無関係にステージの上の人と上がりたくても上がれない人に大きく分けられる。松井を形容する時、決して忘れてはならないことの一つがこのステージの上の人である。そういう意味で復帰初打席は好機にやって来ると予想はしていたのだが、この日の松井は8番。さすがにそれが初回に訪れるとは思ってもみなかった。

上位打線の連打、盗塁の判定、ポサダの当たりと足の遅さ、デビルレイズの投手陣。ただの偶然と言ってしまえばそれまでだが、その偶然が限られた期間に何度起こるかで物事は大きく変わってくるものなのである。

ヒデキ・マツイのコール以前にスタジアムはすでにヒートアップしていた。そして松井が打席に入った時、そのボルテージは頂点に達する。何年もの間ほぼ欠かさずヤンキース戦を見ているが、レギュラーシーズンでこれだけの歓声とスタンディングオベーションは滅多に見ることはできない。

そして当然のようにタイムリーヒット。決していい当たりとは言えなかったが、結果を出すところがまさに松井。まったくたいした男である。

その後も猛攻が続きこの回だけで9得点、初回にしてゲームセットとも言える大味なゲームになったかに見えた。ところが松井はこの後さらに3安打。ヒットを打つ度に歓声は増し、4.5打席目などは1打席目のそれと変わらぬほど。独壇場とはまさにこのことだろう。

約4ヶ月ぶりに復帰した松井だが、やはりただでは帰って来なかった。すでに気づいているかも知れないがバッティングフォームが変わったのである。

以前と比べると極端に左ひざを曲げ、重心が左足寄りになり全体的にも低い。ピッチャーズマウンドの方から見ると左ひさが飛び出しているのが分かるはずだ。このフォームには主に2つのメリットがある。

1. ヒッティングポイントを遅らせることで逆方向にも強い打球が打てること
2. 体重移動がより効果的になるため長打力が増すこと

松井という打者は体の回転で飛距離を出すタイプである。回転に頼るとどうしても体の開きが早くなり、少しでもタイミングがずれるとインパクトの瞬間にはすでに体重移動が終わってしまう。そのため逆方向に強い打球が飛ばせないといった構図になる。極端に開きが早いイチローが逆方向には当てるだけしかできないのはこれが理由なのである。

デメリットは体重移動が遅い分、下半身がしっかりしていないと打球が詰まりやすく差し込まれてしまうこと。これについてはみっちり下半身を鍛えたはずなので問題はないはず。

松井が素晴らしい打者なのは言うまでもないが上には上がいるのもまた事実。例えばカージナルスのプーホーズ、インディアンズのハフナーなどは逆方向に打つことでHRを量産している。これはインパクトの瞬間まで軸足に体重が残っているからできることで、残念ながら松井にはその域までは望めないと思っていた。

ところがバッティングフォームが変わった今、それを期待できるのは何とも嬉しい。逆方向ではなかったが昨日の4打席目にそれを裏付ける打球があった。ファールだったものの打球は弾丸ライナーでアッパーデッキを直撃。これまではほとんど見られなかった弾道で、下半身を上手く使った結果と言えると思う。転んでもただでは起きない。何度も言うが、まったくたいした男である。

先制3ランHR(1回無死1.2塁)など2安打7打点のアブレイユが評価の中心。他では6.1回5安打無失点の好投で久しぶりの勝ち星をあげた先発ムシーナ、4点目となるタイムリー2ベース(1回1死2塁、3-0)のポサダ、決勝タイムリーヒット(1回1死1.3塁、4-0)など4安打の松井と守備でも魅せた3得点のジーターが対象。

MVP Points Today/B Abreu4 M Mussina3
J Posada1 H Matsui1 D Jeter1

MVP Points Total/C Wang34 D Jeter33 J Damon26 B Abreu25
M Cabrera23 A Rodriguez23 R Cano21 J Giambi20 J Posada18
M Rivera17 B Williams16 R Johnson15 M Cairo12 C Lidle10
J Wright10 K Farnsworth9 M Mussina11 S Proctor7 A Guiel6
R Villone5 C Wilson5 D Rasner4 N Green3 A Phillips3 B Bruney3
B Crosby2 J Karstens2 S Fasano2 H Matsui1 S Ponson1 K Wilson1

2 comments:

Anonymous said...

こんばんは!

松井の復帰、派手でしたね~
今日のHR打った時のお客さんの歓声、聞きましたか?大声援でした。
初日だけに留まらずまた打つなんて。
NYYファンのハートを掴みました。

しかしNYY打線好調ですね~。
投手陣が失敗してもあまり負ける気がしません。
わたしA-Rod好きなんですけど、あの打線にいると何か霞んできます。
アブレイユ7打点て凄すぎます(-_-;)

>逆方向ではなかったが、昨日の4打席目にそれを裏付ける打球

これは期待しちゃいますね。

今まで試合を休めなかった松井でしたけど、今回のことは彼にとってもいい意味で再起動になったと思います。
4ヶ月で復帰ってのは奇跡的だと思いました。

KMFIS said...

打った瞬間大声出しました。
もしかしてその瞬間は興奮しすぎて歓声は聞きそびれたかも知れません。後でもう1回見てみます。

相手が相手というのもありますが、確かに打線は好調ですね。

今は全てが好転している感じですが、プレーオフとなると話は別になってきます。
ブログにも書きましたが2枚看板のいるツインズとは特にやりたくないです。

ファンであればあるほど余計な心配をしてしまうもので
好調なのが逆に怖いというのもあります。

>これは期待しちゃいますね。
期待して正解でした。
偉そうなことを書いている関係でほっとしたというのもありますが。

「4ヶ月休んで4安打だぞ、簡単なことじゃない」
というジーターのコメントが印象的でした。

何はともあれコメントもらえるのはレアなので
とても嬉しいです。




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